火の里
桜吹雪
忍者時代1
「止めて・・・。お願いだからこれ以上里の 皆を殺さないでよ」
「残念だったな。氷雪の殺し屋こと雪火世界 とは下剋上なんだ。恨むなら己の無力さを 恨むんだな」
今里には大人がいなかった。そんな中、突如現れた敵に私の家族や仲間達は次々に殺されていった。
「あぁ、恨むよ。将来絶対にお前のことを殺 してやる。覚悟しておけ!」
私は皆に助けられた命を守り復讐するために逃げた。本当はその場で殺してやりたかった。だけどそんな力は残って無かった。だから私は必死逃げた。だが
「やっぱり・・・もう・・・うご・・・ け・・・な・・・いや・・・ごめん」
敵に刺され、術を使いすぎたせいで里から大分離れた道端で力尽きてしまった。
「主様、道端で忍が倒れています」
「酷い傷だな・・・。よし応急処置を施せ我 が屋敷に連れて帰るぞ」
「どこの馬の骨かも分からないような者をお 屋敷の中に入れるのは危険ですよ主様」
「いや、こいつはおそらく火の里の忍だ。そ れも十歳ぐらいの頃から優秀な功績を納め ている雪火だ」
「なら、尚更危険では?」
「全ての責任は俺が持つ」
「分かりました」
私が次目を覚ますとそこには見慣れぬ部屋が広がっていた。
「あら、あなた目を覚ましたんですね」
私の目の前には綺麗な女の人がいた。意識が覚醒すると共に私はその女の人の後ろにまわり首にクナイを当てた。
「叫ぶなよ、そして余計なこともせず私の質 問に答えろ。ここはどこだ」
「ここは源頼朝様のお屋敷です。あなたが起 きたら案内するように仰せつかっておりま す。私に付いて来て頂いても宜しいです か?」
「分かった。だが少しでも不穏な動きを見せ たら殺すからな」
私はその女の人に案内されとても大きなふすまの前までやってきた。
「主様、例の忍が目を覚ました」
「よい、通せ」
扉が開きそこには殿様というには少し若いような男の人がいた。私は跪き挨拶をした。
「此度は死にかけのところを拾って頂き誠に ありがとうございました。私は雪火と申し ます」
「雪火、お前の本来の名は何と申す?」
「それは例え命の恩人であれどお教えするこ とが出来ません。忍の本来の名は主でない と教えてはいけない決まりなのです」
「そうか、雪火、私の忍になる気は無い か?」
「なっても宜しいですがあなたは私のことを 心の底から信じることが出来ますか?」
「あぁ出来るとも。出来なければこんなこと は申し出ない」
私は彼を試すようにクナイを五本投げた。だが彼は全く動かなかった。
「これで信じてくれたか雪火よ」
「えぇ、今までも私のことを忍にしたがる人 はたくさんいました。だけど皆私のことを 信じれなくてこれで避けてしまうんです。 だけどあなただけは違ったようですね。私 雪火こと雪は源頼朝様を主といたします」
「ほぉ、お前の本来の名は雪と言うのか。良 い名だな。俺は雪に新しい名をやる。今日 からお前は雪影だ」
「雪影・・・。名に恥じぬよう精一杯頑張り ます」
「雪影がどのような経緯で倒れていたのかと か、どこの里の忍だとかは聞かない。だが 雪影が話したいと思ったら話してくれ」
「ありがとうございます主」
「それじゃあ明鈴、雪影を龍のところへ案内 してやってくれ」
「はっ、それでは失礼いたします」
私達は部屋を出て主に言われたところへと移動し始めた。
「明鈴さん、先程は失礼なことをしてすみま せんでした」
「いいの雪影ちゃん気にしないで。私達があ なたののことを信じてクナイを持たせたま まにしていたんですもの」
「ありがとうございます明鈴さん」
「あら笑うともっと可愛らしいわね。あっ、 ここが龍さんのお部屋よ」
「勝手に開けて入ってくれ」
中から声がしたので開くとそこは大分散らかっていた。
「主様から詳細は聞いている。雪影には主様 の弟である朔坊の護衛を頼むな。それじゃ あ明鈴、案内してやってくれ」
「分かったわ。雪影ちゃんこっちの中庭のど こかにいると思うから頑張って探してね」
「えっ、あっはい」
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