紅い線路
祇園四条
第1話 結
あぁ...
友達出来るかなぁ...
色々と心配だ...
俺の名前は
見た目も性格も普通...多分
今日は入学式だ
それにしても...
朝の電車は人が多い
多すぎ!
まぁ、仕方ないわな...
枚方市駅に着いて余計にぎゅうぎゅう詰められる
すると後ろからトントンと小さく肩叩いてくる
なんや?
なんか俺に用あるんか?
今は後ろを見れない状況だ
窓が鏡のようにうっすら後ろが写る
すると俺の後ろに女子高生がいる
女子高生...?
ん?俺の知り合い?
っていうか手が地味に震えてる...?
もしかして...痴漢に遭ってる?
未だに肩をトントンするのは止まらない
そして地味〜に「助けて」って聞こえる気がする
とりあえず...避難させるか
俺はその子の手と背中を持って周りの人に謝りながら無理やり俺の横に来させる
そしてその子と俺が友達ですよっていう風に「大丈夫?」と聞く
その子は下を向きながら頷く
俺はこの子の後ろに居た奴を睨む
ヤクザであろうとマフィアであろうと睨む
全く知らない人を睨むって初めてやな...
オタクっぽい専門学校生みたいなやつだった
俺の目を見てどっか行った
この子どこの学校だ?
髪で下が隠れて何も見えねぇ
それにしてもいい匂いだな...
その匂いにほんわかしていると気が付けば京橋駅の一つ前の駅を通過した
次の京橋は俺の降りる駅だ
この子もそうなんかな?
そして駅に着いてドアが開く
俺はその子の手を引いて急いで電車から降りる
そしてあまり人の邪魔にならない駅の端に連れて行く
その子を見る
え!?同じ校章...つまり同じ学校!?
それにバッジには1-2...と言うことは...新入生!?
それに俺と同じクラス!?
俺のバッジも1-2だ
俺は色々と驚いているとその子が喋る
???「あ、あの...」
俺「は、はい?」
???「ありがとうございます...!その...助けてくれて...」
俺「あぁ...ど、どういたしまして」
やはりそうだったのか
ていうか...可愛いな
黒髪ロングで優しそうな顔をして背は俺よりちょっと下で...お胸も大きい
痴漢される原因それだろ...なんて言えるわけないか
ていうか...この子どっかで見たような...
???「あ、あのっ!わ、私っ
ぺこりと深く礼をする
俺「あ、あぁ...よ、よろしく」
すると顔を上げて俺に尋ねる
遥「あの...お、覚えてませんか...?私の事...」
俺「え、どこかでお会いした...?」
遥「あの...教科書販売の時に...」
俺「あ、あぁ!」
そうだ、思い出した
確か教科書販売の時に列で並んでた時に...
販売員「4540円です」
遥「はい...あれ...あれ!?」
販売員「どうしました?」
遥「10円足りひん...」
販売員「んー、誰かに貸してもらうしか...」
その時遥はめっちゃ慌ててたんだっけな
遥の後ろがたまたま俺だったのだ
それで俺が遥に10円あげたんだ
俺「俺が出しましょか?」
遥「え、い、いいんですか...?」
俺「うん、はいどうぞ」
遥「あ...ありがとうございますっ!」
そしてなんとか教科書を買えた。
俺「あ、あの子...君やったんや」
遥「はい...あの時は本当にありがとうございました」
俺「え、ええよええよ...っていうか、俺と同じクラス...?」
遥「そ、そうですね、教科書販売の時に一緒に居たので...」
俺「あ、お、俺の名前...渡島駿太って言うんだ...よろしく」
遥「は、はいっ!」
歩いて学校に行く。
そして教室
少し静かだ
席は窓側の真ん中辺りだ
遥かは...俺の前か
めっちゃ近いじゃん
すると遥かがこっちを向く
遥「席...近いですね」
俺「あ、あぁ...そ、そうやな...」
俺遥「...」
俺「(やべ、可愛い!え、俺遥の事好きなんかな...?いや、好きやろ!どう考えても!こんなドキドキし合うってコミュ障な奴やないとならんぞ!?っしゃ...今日の放課後告白...いやいや待て待て!この子絶対彼氏おる!...でも当たって砕けろ!ええねんそれで!...でも早い早い!もうちょい、もうちょい我慢せーや俺!)」
遥「(どなえしよ...私渡島君の事好きかも!?なんで!?別にそこまで一緒におった訳ちゃうし...でも...今日の痴漢だって教科書の時だって...私めっちゃ渡島君のお世話になってるやん!...よぉし、今日の帰りしに...うーん...いや、私は行くで!一度決めたらやれ!これが私の座右の銘や!っしゃ!)」
俺「な、なぁ...五条さん」
遥「え、は、はいっ!?」
俺「今日...一緒に帰らへん?」
遥「え...い、いいんですか!?」
めっちゃ嬉しそうな顔をする遥
可愛いなぁ...
俺「お、おう」
遥「あ、ありがとうございます!」
俺「ど、どういたしまして...ていうか、タメ語でええよ?」
遥「え...?あ、ありがとう...」
おぉ...照れてる
可愛い、本当に可愛い
遥「わ、私の事は...遥でええよ?」
俺「あぁ、俺の事は駿太とか何でもいいよ」
遥「わ、分かった...駿太君」
俺遥「...クスッ」
俺と遥は笑い合う。
...そして入学式等を終えて学校から出る
時刻は15時30分だ
俺の横には遥かが居る
遥の親は先に帰ったらしい
俺の親も同じだ
遥「家は...どこなん?」
俺「樟葉やで」
遥「え...一緒」
俺「え、そ、そうなん?」
遥「うん...」
俺遥「...」
何やろ...緊張しとんか会話が全く弾まへん!
気が付けば京橋に着いていた
そして特急に乗る
俺「あ、あのさ...LINE交換せーへん?」
遥「う、うん...しよ」
LINEを交換する
そしてまた沈黙が続く
気が付けば電車は枚方市を発車する
どなえしよ...駅降りたら速攻行くか
ていうか何で遥が緊張してるんや?
遥もまさか...いや、な訳ない
今はそんな都合のええ世の中ちゃうしな...
まぁ、当たって砕けたらええねん。うん!
一方遥は
よし...駅降りた瞬間に行こ
セリフ飛ばんようにせな...
まぁ...何とかなる、うん!
...そして運命の樟葉駅に着く
俺と遥は降りる
...よし、行っくZ
遥「あのっ...!」
俺「え、え!?」
え...?
遥「その...き、教科書販売と...今日の朝の痴漢から助けてくれて...し、駿太君の事が好きになりましたっ...!!」
...え!?まじで!?
っていうか...俺の予測当たっとった...!?
遥「そ、そのっ...わ、私と...つ、つ...付き...付きっ...付きあって下さいっ...!!おぉ願いしますぅっ!!!!」
おぉい...嘘だろ...
俺告白されてんじゃん...
そんなん...いいに決まっとるやろ!
俺「い...いいです...よ」
遥「へっ...!?」
俺「いやぁ...お、俺も同じ事考えとったから...」
遥「...よ、良かった...」
俺「こ、これからも...よろしく」
遥「うん...よろしく」
俺遥「...ハハッ」
また笑い合う
俺は入学早々大切な役を任された
遥の彼氏と言う大役を
これは責任重大だな
そして駅を出て淀川の河川敷を歩く
手を繋ぎながら
俺「なんか...色々と早いな」
遥「せやね...っていうかめっちゃ早いやん」
俺「マンガみたいやな」
遥「ほんまそれやで?ってか家ってここら辺なん?」
俺「もうすぐそこや、遥はどこなん?」
遥「私そこの最近出来たマンションやねん」
俺「え、そうなん!?じゃあ中学は...」
遥「あぁ、私元々京都の嵐山に住んどってさ、親の都合でここに引越ししたんよ」
へぇ、京都やったんや
中学の頃モテとったんやろうなぁ...
俺「中学の頃はモテてたの?」
遥「えっ!?ま、まぁ、告白はようけされたなぁ」
俺「やっぱりなぁ...」
遥「まぁ、全部断ったんやけどね」
俺「えっ!?なんで?」
遥「その...身体目的ばっかやったからさ...」
あぁ...なるほど
あんまり聞かなかった方が良かったな
遥「でも...駿太君は今日私を痴漢から守ってくれたし...10円も出してくれたし...あ、忘れとった」
遥が財布を出して開けてお金を取り出す
遥「遅なってごめん」
俺に10円玉を差し出してきた
俺「あぁ、ありがと」
そして遥のマンションの前に着く
遥「今日は...ありがとう」
俺「別にかまへんよ、じゃあまた明日」
遥「うん、バイバイ」
俺「バイバイ」
俺と遥はそこで別れた。
俺「ただいま」
父母妹「おかえり」
時刻は18時だ
俺には妹が居る
中学2年生、お茶目な妹
五十鈴「遅いわ!アホ!」
俺「別にええやろうが...」
五十鈴「高校どん感じやったん?」
俺「...さぁな!」
五十鈴「むぅ!教えろやボケ!」
俺と五十鈴はいつもこういう感じだ
ま、嫌じゃないが
そして風呂とご飯を済まして自分の部屋に戻って布団に籠る
...ちょっと遥とLINEしよっかな
俺は「こんばんわ」と打つ
よし...送し...
あれ?送し...あれ!?
待て...何でこんな戸惑ってるんや?
なんでや!?なんでやねん渡島駿太よ!
押せ!押せや...おい!
くそっ...何で...何で俺はLINEの送信を押すだけでこんな戸惑ってるんや!?
...まぁ、明日朝いっぱい話したらええん...か
せやな、そうしよ
そうして俺は眠りに入った
一方遥は
どなえしよ...
送ろっかな...
いや、私は一度決めたらやる女や!
よし、送し...ぬぅっ!
時刻は22時だ
私は30分くらいLINEの送信を押すのに奮闘していた
何でや...何で戸惑うねん!
でも...まだ新高校一年生ってのがあるから緊張して寝てる...かな...
せや、絶対寝てる!
これ本人の前で言うたら怒られるけどパッと見悪そうやけど根はめっちゃめちゃ真面目っぽいもん!
よし、私も駿太君目指して寝よ!
私は眠りに入った...
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