第2話 ラーメンを継ぐ者

「そういえば…あの店潰れたらしいね」

「あぁ…息子が継いだんだけどな…あの味は出せネェよ」

「不味い以前に汚い店だったな」

 この汚い店は『お湯ラーメン』26話参照。

「そうかな~」

「あの店のチャーシューを継ぐ店があるみたいだよ」

「マジ?」

「あぁ…パン屋らしいんだ」

「行くしかねぇだろ…」

(行くのか…言わなきゃ良かった)


「炒飯にすれば良かった」

「文句言うな、自分で決めたんだろ」

(いや…オマエに合わせたんだが…)


「おっ!サービスが入ってたぜ」

『通』が嬉しそうに炒飯に指を入れる。

「なに?」

「コレだ」

 卵の殻…。

「サービスだ」

「クレームだな…」

「待て!これは気遣いだ」

「ミステイクだ」

「頭皮に問題を抱える俺を気遣ってるんだ」

「カルシウム…ハゲに関係あるのか?」

「あるね」

「お前がいいなら別にいいんだが…食えよ…卵の殻」

「ん?」

「サービスなんだろ…食えよ、気遣い無駄にする気か」

「ウズラの卵は殻ごとだけどよ~ニワトリはな~」

「一緒だ…食えよ」

「戦時中は食ったみたいよ殻」

「しらねぇよ…俺は今、お前に食えと言ってるんだ」


 食べませんでした…。


「ウズラなら殻ごと…俺ん家の周り皆そうだよ」

「ウソつけ!」

「ホントだって!ウチのじいちゃん95まで生きたよ」

「ウズラの卵を殻ごと食うからか?」

「そうだと思うよ~大体、平均寿命90超えるからね、俺の田舎。あっ…でも叔父さんは43歳くらいで死んだな」


「で?パン屋行くの?」

「行くしかねえだろ、ナビ入れるから電話番号調べろ」


「近くだな…大体解るわ…任せろ」

『通』の大体は、大体アテにならないほうの大体だ…僕は知ってる。


「おい…ナビは右折だと言ったのに…なぜ左に曲がる?」

「俺、ソコの店知ってるよ」

「ホントか?でも、右折と左折って真逆だぞ」

「大丈夫だ」


 20分後…迷ってました…。


「ナビ通りに行ってくんないかな…」

「おっ…ココじゃね?」

 確かにパン屋だった…。

「すいませ~ん、ココにラーメン屋のパンあるって聞いたんですけど」

『通』が店員に聞いていた、僕は知っていた…この店じゃないことを…他人のふりしてパンを2個買った。

「おっ買うの?俺もコーヒー飲みたい一緒に払って」

 他人のふりは無理でした。


「マジで…ナビに従ってくれないかな…閉店時間過ぎそうだし」

「解ったよ」

「うん…オマエ、ナビ入れたがるけど従わないよね、昔から」

「あぁ…コイツ嘘吐くじゃん」

(ウソは吐かないだろ…アバウトなときはあるが…)


 迷うこと…さらに15分…閉店してました…。

「定休日か~残念」

「定休日じゃねぇ…営業時間を過ぎたんだ、バカ野郎…」



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