第11話 国王と御対面…だと……!
俺はクロードと名付けられた。名付けたのはフィオナで、代々対の神獣同士が新たに生まれて来た者に名付けを行う習わしがあるらしい。
そう言う経緯があり、俺は晴れてクロードとなった訳だが……今絶賛緊張中である!
あのお披露目会と比べられるレベルではない。
何故なら、俺の目の前にいるのは……。
と言うか、俺とフィオナに向かって跪いているのは……この国の国王達だからだ……。
やばい…
「頭をあげなさい。社交辞令は必要ないわ」
フィオナが平然とそう言った。こういう事には慣れているのだろう。
国王達が頭を上げると、まさに興味津々と言った様子で俺を見て来た。
今俺達がいる場所は神殿内にある客室である。ここには国王だけでなく、王妃、王子、王女までもが来ていた。神殿内で一番偉い立場の教皇であるティフラインも勿論同席している。
国王達は金髪碧眼、正に王族と言った感じだ。少し羨ましいと思った俺は悪くないと思う。だって元日本人で、髪は今と同じく黒だったし。まぁ前は完全な黒と言うより、黒に近い濃茶って感じだったけどね。
それは兎も角、そんなにキラキラした目で凝視されるととても居心地が悪いのだが……。
そう思いながらソファーの上でもぞもぞしていると、フィオナにいきなり抱き抱えられた。一瞬ふわっとした浮遊感を感じて、若干怖かった…。人間に抱き上げられるペットの気持ちが分かった気がするよ…。
そう思っている間にも国王が自己紹介を始めていた。
国王はブラディオス=フォン=アストール。優しそうなお父さんって感じの人間だ。
王妃はセレスティア=フォン=アストール。こちらもとても優しそう。
王子はアレクサンダー=フォン=アストール。中々なイケメンになりそうなキリッとした美少年だ。まさに王子様ってこんな感じだよねって見た目。
王女はソフィーナ=フォン=アストール。天真爛漫そうな美少女って感じで、今にも抱き着いて来そうな気がする。
美形過ぎて眩しいぜ……。
「本当にあしが三本もあるんだ……」
まだ十歳程度であろうアレクサンダーがポツリとそう呟いた。
俺はそれを聞いてもっと見せてやろうと、テーブルに下り立ち少し自慢気にグッと胸を張ってみた。
どうだ?格好良いだろ?
うわぁ〜!と感嘆の声を出すアレクサンダーとソフィーナのキラキラ度合いが上がった気がする。
ふっふっふ、さぁ見よ!俺のこのふっさふさな胸毛を!……あれ?脚だったか?
まぁいい、兎に角見るのだ!
気を良くした俺はぴょんぴょんと飛び跳ねて二人に近付いた。
『さわってもいいんだぞ!』
一瞬ビックリしたみたいだが、好奇心に負けたのか直ぐに嬉しそうな表情になった。二人はチラリとブラディオスの様子を伺うと、コクリと笑顔で頷きが返ってきたので慎重に俺の身体を撫で始めた。
頭の上から大きな手が降ってくるのは若干怖かったが、慎重に撫でられているからかとても気持ち良かった。
ソフィーナの方はふっさふさな胸毛を触って御満悦の御様子。口の端からよだれが垂れていた気がしたが、気の所為と言う事にしておこう。
俺が気持ち良さそうに目を細めているのを見て安心したのか、二人は積極的に撫でてくる様になった。ブラディオス達も笑顔でそれを見守っている。
気持ちが良いからか、自然とクルルと喉が鳴った。
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