第7話 対の存在 玉兎と八咫鴉

 案内されたのは白と黒が基調の部屋。扉や壁、床は漆黒と言っていい程綺麗な黒で、カーテンや家具は濁りのない純白って感じの白。何でだろ?って首を傾げていると、おっさん━ティフラインって名前で、やはり一番偉いらしい━が説明してくれた。


「我が国アストラ王国は対となる月と太陽を象徴とする玉兎ぎょくと様と八咫鴉やたがらす様を崇拝しております。ですので、神殿内の装飾も白と黒を基調としているのです。」


 なるほど、どうやら神獣は一国に一匹という訳ではないらしい。

 玉兎は確か、日本でも八咫鴉の対の存在であった筈。まさか異世界でもそれが通用するなんてなぁ。


 ふと玉兎ってのに会ってみたくなった。対の存在ってどんなんだろ、めちゃくちゃ気になる。


 するとティフラインが…


「八咫鴉様が良ければ、今から玉兎様とお会いしますか?」


 マジで!?会いたい会いたい!早く連れてってくれ!


 俺はバサッと羽ばたきティフラインの肩に乗った。

 ティフラインはびっくりしたのか一瞬目を見開いたが、すぐにいつも通りの笑顔に戻るとでは、と言って歩きだした。

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