コンジッター ~戦いと闘い~

@SUKIYA

第1話 【放たれた絶望】

古より、不思議な能力を持ったもの達がいた。

あるものは火を操り、あるものは超スピードで移動し、またあるものは人の心を読むことができた。

そして、たぐいまれなる身体能力。

人とはまた違う種の存在。

だが、人々は能力を持ったものに恐れを持つことはなかった。

なぜなら、雲が流れるのが当然のごとく、海が青いのが当然のごとく、彼らも存在したからだ。

過去よりの呼び名は様々。


今に至る呼び名は

「「コンジット」」




~7年前~

鉛色の空。それに対して賑わいを魅せる商店街。

「母さん!クレープまだ!!」

「そうね!買い物も済んだし、クレープ屋さんに行こっか!」

「やったーー!!」


母親のその言葉を聞き、弾けるような笑顔を見せる少年。

少年の名前は皐月天(さつきそら)。

そしてその母親の皐月義子(さつきようこ)である。


「この前はチョコバナナだったから~。うーんと、今日もチョコバナナ!!」

「母さんにも一口ちょうだいね?」

「ええー!一口だけね!」


何気ない親子の会話。


しかし、それを遮るように二人組の男が親子の前に立ち塞がる。

「…?なに?おじさん達?」


一人はがたいのいいスキンヘッドの男、もう一人はフードを被っている。


スキンヘッドが不適な笑みを零しながら喋りだす。

「お前が皐月義子だな?」

「…なに?誰よあなた達…!?」


「こいつでいいんだろ?」

スキンヘッドがフードの男に聞いている。

「ああそうだ。殺れ。」


「天!!逃げなさい!!!」

「え!?でも母さん…!?」


『ハァァァァーーーーー!!!!』

「!?」

突如、スキンヘッドの男が叫びだす。

みるみる内に男の姿が豹変し出した。


ただでさえ、がたいのよかった体がさらに巨大化している。

まるでアメコミのハルクのような体格に変身した。


『フフフ…。死んでもらうぞ!!!』


ザワザワ

なんだなんだ!?

あいつコンジットか!?


ようやく、回りの人達も異変に気づいた。


『回りの奴等を片付けてもいいか?』

「ああ、好きにしろ。」

フードの男がどこかに一瞬の内に走り去った。


『暴れてやるか!!!』

男が両手を振り上げる。

そしてその両手を地面に叩き付けた瞬間、


「「「ドォーーーーーーン!!!!」」」


凄まじい音がしたと共に回りの景色が一瞬で変わった。


「キャーーー!」

「なんだ爆発か!?!?」

「人がたくさん倒れてるぞ!!」


廃墟と化した商店街。だが不思議と天は痛みを何も感じない。

「…もう一度聞くわ。誰なのあなたは。」

母さんが目の前に立っている。そして母さんの周りだけさっきの衝撃がなかったかのようだ。


ああ、母さんも使ってるんだ。能力を。


『ほほう、まぁこの攻撃で殺れるとは俺も思ってなかったがな。皐月義子…。』

「質問に答えなさい。」


今までに見たことのない表情を見せる義子。


『俺か…?そうだな…。殺戮者だ…!!!』

子供の天から見てもわかる。こいつはヤバい。


「じゃあ殺戮者さん。残念ながら死ぬのはあなたよ。」

母さんの口からそんな言葉が出てきたことに、天は悲しみを感じた。

あきらかにいつもの母親とは違う。


「天…?」

「…なに?」

「隙を見て逃げなさい。」


そんなこと言われなくても天は今にでも逃げ出したかった。


「わかった…!」

強く頷く。

「…天。」


一瞬だけいつもの母親に戻った表情だ。

「クレープはまた今度ね…!」

「うん…!」


『ごちゃごちゃ話してるんじゃねぇよ~!!!俺様が死ぬだと?なめやがってこの女!』


「今よ…!逃げなさい!」

「死なないでね…母さん!」

母さんを背に全力で駆け出す。


『おっと!チビも逃がさねぇぜ!!』


「「パァンッ!!!」」


『グオッッ!!』

スキンヘッドは何が起きたのかわからなかった。

ただ、右頬になにかしらの衝撃が走ったことは確かだ。


「あなたの相手は私よ。」

『フフフ…伊達にコンジットじゃねぇな?義子さんよぉー?』


義子は髪をほどきながらこちらも不適な笑みを浮かべる。

「そうね。久しぶりだわ。この感じ…。せめて痛ぶりながら死になさい。」


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