ゆとり女性の生活をチラ見してみる?

テクあか

プロローグ

「ごめん、もう無理かも…ついていけない」


そろそろ習慣になり始めていた、深夜の2人散歩。

仕事の話、同僚の話、いつものように雑談と仕事の間のような会話をしていた。

少し話題に一区切りついた時、

恋人のさみし気な表情に、心臓をつかまれた。


あと20日で、つきあって4年記念日。

同じ会社に同じ家から通い続けてそろそろ1年。

今日の昼には、私の両親と恋人と私の4人で食事したばかり。


誰に褒めてほしいわけじゃないけど、

私が声を荒げなかったことは、奇跡ではないだろうか。



無言が続いた。


数十秒なのか、数分なのか、時間感覚が狂っていた。

この話を切り出された時に見えていた景色も思い出せない。

線路と変わりばえのしない普通の住宅が並んでいるだけの場所だから仕方ないでしょう、なんて、心の中で、現実逃避。


隣を歩いている恋人は、

いつも人のよさそうな笑顔を浮かべていて、ちょっと弱そうに見える。


ただ、内面は頭の回転が早くて、皮肉屋の自信家。

恋人の私には甘えたさん。



そう、甘えただから、決定的な言葉を自分で言うことを避けている。

私に言わせる。

決定的な言葉は。


本当に、弱い人だなぁ…

そして、私はいつでもハッキリさせたがる「かわいげのない女」。




「別れたいってこと?」「…うん」


手に入ると思っていた。

私の思い描いていた平凡で幸せな未来のほとんどが、

夢物語になった瞬間だった。

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