置換微分(正式には「合成関数」)・置換積分
「突然だが、『dx』や『dt』の『d』ってなんだかわかるか?」
「『微分』ってことですか…?」
「いや、これは『微小区間』という意味だ。物理で出てこなかったか?
データをとってグラフにして、基本原則を見つけ出そうと思ったら、『差』が大事だ。
『Δx(デルタエックス)』なら、xの変化した分。
例えばxが1時間たったらΔx=1時間ということになる。
でも『dx』なら、xがほんのちょっとだけ変化した、ということだ。「微小」だ。
この「ほんのちょっと」を足し合わせるのが積分で、
「ほんのちょっと」だけにするのが微分だ。
だから微分にも積分にもどちらにもこの「dx」がついている。
微分なら割るから分母に、積分ならかけるから横にくっついてる。
ちなみに変数がtなら「dt」
変数がyなら「dy」
変数がpなら「dp」…ってもういいな。」
「はい。もういいです。」
「これの便利なところは、このまま足し算や掛け算や割り算や分母分子で打ち消す、といった計算ができるところだ。
それが「置換」だー!」
「はあ。」
「df(x)/dx
これが『f(x)をxで微分』ほんのちょっとのf(x)をほんのちょっとのxで割るからな。
逆に∫f(x)dxだと、『f(x)をxで積分』という意味になる。
不思議なことに、どっちにしても、変数を変える、つまりdxをdtに直したりするときには、微分を掛けることになる。
ただし微分の場合はもともとなにもないところに微分を掛けるが、
積分の場合は、もともと微分がかけられているときだけ、変数変換できる。
なければ微分を割って、むりに微分を出す。
数字ならまだいいが、3次や4次の関数、あるいはcosやsinを変数にしたいときは、もとから式の中に微分が入っていないか真剣に探すことになる。
ではf(x)をf(t)に直して、dx→dtにしたいときは?
例えばf(x)=(5x-1)5
5乗をいちいち計算してから微分したり積分したりするのは現実的じゃない。
もっと楽なのは、t=5x-1と置き換えることだ。そしたらt5の積分もしくは微分で、これなら楽だ。積分なら1/6t6 微分なら5t4。
ただしルールがある。このときは微分でも積分でも、「微小の単位を変えるなら微分を掛けること」というルールだ。
t=5x-1をxで微分したら、5
具体的な答えは、 微分なら5t4×5 積分なら1/6t6×1/5
これはどうするかといえば、
両辺を微分。両辺をともに微分した場合、変わらないから。
dt=(5x-1)′dx
dt=5dx
微分すると、定数や、xでない変数はすべて無視してOKだから、そぎ落とされてかなり簡単になる。微分は断捨離のようなものだな。
これを微分の時には、ほしいのは割ったdxだから dt/dx=5と変形して使い、
積分の時には、ほしいのは掛けたdxだから dx=1/5dtと変形して使う。
これを式で書くと、
微分はdf(x)/dt × dt/dx
上下打ち消して結果はdf(x)/dx
積分は∫―dt × dx/dt
つまりこちらは微分をひっくり返したものを掛けることになるから、
もとから微分をそろえておく必要がある、ということになる。
つまり式の中でもとから微分があれば打ち消しあってなしになるし、
それがなければ微分の逆数を掛けることになる。
途中増やしたかもしれないが、何も間違っていない、ということがこれでわかる。
日本語で言うなら「f(x)をtで微分したもの」×「tをxで微分したもの」ということになる。
つまり微分の時は何も考えずに微分を掛ければいいし、
積分の時は微分になっている形がないか鵜の目鷹の目で探す、そうしたら割らずに済むから、ということになる。」
「置換積分でこの割り算見たことあります。こういう意味だったんですねええ。」
「そうだ。」
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