怪人…いつか超人になる少年、超常の種子からの悲劇の誕生の物語[重改稿版]

金村亜久里/Charles Auson

 インターホンが鳴った。和久田が素早く食べ物を胃に詰め込んでいると、伯母が、フェルミちゃんが表で待ってるから早く支度をしちゃいなさいと言った。図ったようなタイミングでまたインターホンのベルが鳴って、そのフェルミの陽気な声が聞こえてくる。二階で寝ていた義兄まで起き出してきた。おおフェルミちゃんじゃないか、いってらっしゃい徹――和久田は内心軽く溜息をつきながら身支度を済ませると、玄関の戸を開けて生来の薄い茶髪と薄青色の目を持つクラスメイトにおはようと朝の挨拶をした。

「ワクタさん。例の《パルタイ》の噂ですけど、今度は白い髪のが出たらしいですね」

 並走している最中にフェルミが言った。和久田は赤い、フェルミは青いフレームの自転車を通学用として使っている。

「白い髪」

「ええ。噂ですけど、そのパルタイは例のように黒い服で、いつもと違って白じゃなくて赤い目をしていたそうです。噂ですけど」

 このフェルミこそは和久田が抱える三つの秘密の内の一であった。

 彼女は名前をフェルミ瑠美という。そういうことになっている。というのも、和久田は様々の事情から彼女の言うことを頭から信じることができないのだった。多くは彼女に出会った時の経験と、それから彼女の言うところの自身の出自によるところである。べつに日本人的な風貌でないから怪しいとか、そういう偏狭な理由ではない。フェルミを前にするとき、和久田の勘のようなものが強い警戒を呼び掛けている。こいつは、今までおれが見てきたような《尋常のもの》とはどこかが違う――。フェルミ自身の虚言ともつかない言葉と相まって、和久田は彼女の意志や目的を計りかねていた。

「結局ワクタさんの願い事って、何なんです?」

 信号待ちをしている時にフェルミが問うた。忘れもしない。一月の終わり、唐突に和久田家の隣に越してきた彼女がこの四月半ば過ぎに至るまで発し続けている問いである。そして和久田はそれに答えることができないでいる。この時も無言のまま、信号が青に変わったので和久田は再びペダルを漕ぎ始めた。

「ちょっとは返事とかしてくださいよお」

「返事に困ることを言って返事しろと言われても、困る」

「じゃあ、たとえば何ならいいですかねえ」

 和久田は黙っていたが、再び交差点で信号に捕まって、二人は停まった。フェルミは何か思いついたようににこにこ笑った表情をつくって言った。

「昨日の交通事故負傷者数!」

 和久田はすぐ脇の交番の前に掲げられた「事故数」「死亡」「負傷」を見た。今朝のニュースでもつい昨晩ミニバンが十トントラックに正面衝突する事故がありミニバンの運転手が死亡した由が述べられていたことを思い出した。フェルミはニュースを見ていただろうか?

 右の通り和久田はフェルミに全幅の信頼を置いておらず、また彼女についてあまり多くを語ることは出来ない。和久田自身フェルミについてよく知らないし、彼女の問い即ち「彼は何を願っているのか」はそのまま和久田の秘密のもう二つに直結しているのだ。一というのは即ち、彼女フェルミが人間ではないということなのだが……。

 少し遅い速度で三十分ほど漕ぐと高校の校舎が見えてくる。この、和久田やフェルミが通っている市立高校は、敷地の東半分に南北に長い校舎が二つ並び、北に体育館、残りは運動場という造りになっている。進学校を標榜しており、進学実績も早慶上智に毎年二桁程度の合格者を出すなど少なくとも悪くはない。

 小ぎれいな校舎と行き届いた空調設備、何年か前に刷新された男子は詰襟、女子はブレザーの制服が人気だという。学生の素行も基本的には良い。しかしクラスメイトの西門や和久田のように、本人はともかく非常に荒れた中学校出身の者や、お世辞にも褒められた品行ではなかった者も入学している。和久田は後者である。

 敷地内の駐輪場を出て昇降口に着いても和久田とフェルミは二人一緒だった。家が隣ならクラスまで同じになってしまっているのだから、当然といえば当然である。金属が剥き出しになって時代を感じさせる下駄箱から内履きを取り出して、履き替え、正面の階段を三階まで上がる。左右に伸びる廊下を左に曲がって二番目、東向きの窓から木々の緑と朝日とが差し込む教室に入ると、和久田が向ける視線の先には教室の隅でいつものように席に着く少女がいた。

 名前を武藤陽子というこの女生徒を形容する言葉を和久田は知らなかった。窓際近くにあてがわれた自分の席で本を広げる彼女の姿はさながら輝いているようだった。

 和久田が武藤について知っていることは極めて少なかった。同じクラスで隣の席であること。髪は黒く肌は白いこと。ローファーをぴかぴかに光るほど手入れしていること。徒歩で登下校しているということ。毎日早くに登校して本を読んでいること……片手でとまではいかないが、それでもせいぜい両手の指で足りる。

 和久田も武藤も高校に入ってまだひと月も経っていない時節であることを鑑みれば少ないとは言えないかもしれないが、彼女はめったに、まったくといっていいほど口を聞かない。

 異様なのは、一つにはそのあまりの無口であることだった。入学後すぐの自己紹介は名乗る程度でごく手短であったし、厚意からまたあるいは彼女の容姿に対する好奇の念から声をかける者があっても、一度としてまともにとりあわなかった。

 朝のホームルームまでの時間も、授業の間の休み時間も、武藤はただ黙って自分の席で本を広げている。そうすることで会話の試みを最初から挫こうとしているのだ。話題の糸口になることを防ぐために無地のカバーまで着けている徹底ぶりである。

 今となっては授業で当てられた時の答えと、食前食後の「いただきます」「ごちそうさま」だけが武藤の声を聞く機会だった。

 彼女はあくまで孤高の存在だった。他と関わらないことによって周囲から疎まれるということは、不思議なことに、ほとんどなかった。彼女はその常軌を逸したとさえいえる美しさのために、他の生徒達とは一線を画した場所にいた。

 武藤を前にすれば誰だって彼我のあまりの断絶に気付き、彼女に対するある種の宗教的でさえある畏れを抱かずにはいられないだろう。――彼女は美しく自分はそうではない――。彼女ほどに美しい人間はこの世にはいないし、過去にも未来にもなかった。楊貴妃やクレオパトラ、ヘレネやマリ=アントワネットさえ敵わないに相違ない。少なくとも和久田はそう思っている。

 少なくとも和久田はというのは、武藤を疎む人間はほとんど、おそらくは一人もいないが、彼女を美しいと皆が思っているかといえばそうでもないのである。たとえば西門はこう言っている。「武藤ちゃん? いやあ、怖いよ。怖い。目で人殺せそうじゃない」美しいよりも怖いと彼は言うのだ。事実武藤の目つきはきわめて鋭かった。研ぎ澄まされた刀の刃の冷たい滑らかな曲線を思わせた。

 その日の朝も和久田は教室の廊下側隅の壁によりかかっていた。席で本を開いている武藤の様子を西門らの会話に混じりつつ眺めているのだ。武藤の席は窓際から数えて二つ目、一番後ろに位置していたので、反対の廊下側に陣取っていると彼女の横顔を子細に観察することが出来た。

「またあの、パルタイ? 出たらしいじゃん」

「え、どこどこ?」

「南加瀬だってよ」

 西門をはじめ同級の男子の間でも《パルタイ》の噂はすっかり広まっていた。

 最初の事件は一月の終わりに起こった。第一発見者が和久田の後輩だったことから和久田はその事件について知ることが出来たのだが、河原で周辺のホームレスが、一か所で、集団で死んでいたという。普段河原にはいない顔もそこにはちらほら見られた。ふざけ半分に一人の体に触れたところ、そのあまりの冷たさに驚いて通報、駆け付けた救急隊員により、全員がすでに死んでいることが明らかになったらしい。

「外傷が見当たらない、というか、ありません。多分この寒さでぽっくりいったんでしょう」

 救急隊員たちはそんなことを言ったという。

 またこれも噂話ながら、川崎区の繁華街の一角、南加瀬のアパートの一室で、併せて二件、儀式殺人めいたことが行われたらしい。

《パルタイ》なる一団が噂に上るようになったのは、ちょうどその頃、ホームレスの集団死から三日も経たないあたりからだった。この一団は、ある《対価》と引き換えに、人の願いを何でも一つだけ叶えてくれるという。よくあるといってしまえばよくある話である。

「バッタの仮面ライダー復活とか、叶えてくれるかなあ」

 中学では卓球部のエースだったという井坂が言った。彼は筋金入りの仮面ライダーファンで、ここ十年以上バッタモチーフの戦士が登場しないことに不満を漏らしていた。ふと和久田の頭にあの赤い英雄の姿が浮かんだ。バッタではなくクワガタムシがモチーフで、笑顔から変身まで二千の技を持つあの英雄である。和久田にとって彼はまさしく英雄であり、同時に英雄の象徴だった。彼、赤い戦士こそ英雄の名にふさわしいと感じていた。そのとき彼の嘆きを聞いて西門が反応した。

「仮面ライダーか、懐かしいな」

「見てた?」

「ファイズだったかな。でももう全然覚えてない」

「和久田はどう?」

 しかし和久田はここで話題に入ろうとはしなかった。

「いや、全然……特にこれといって見ない子供だったなあ」

 嘘だ。あの赤い英雄から死にかけの少年に至るまで、井坂と同じくファンである義兄と一緒に見たり、義兄が週末見ているテレビ画面を半ば惰性で眺めたりして、結局全部見ている。しかし様々の事情からあの戦士やあるいはその周辺の出来事について語りたくないという思いがあって、和久田はそれらの会話を聞き流しつつ改めて武藤に視線をやった。

 肌はメラニンの不在を感じさせる白さで、対照的に髪と眉とは黒くつやつやと淡く光を放っていた。筆ですっと引いたような眉、睫毛の短さから際立つ切れ長の目、毛先を地面と平行に整えられた頭のクチクラが反射する白い光の環。額から鼻筋、頬、顔の輪郭から首筋に至るまでの造形は、大理石から柔肌や布地の様を再現した古代中世の彫刻の容子に比して尚勝っている。手は白魚のようなという比喩がまさにと当てはまる細さと滑らかさで、被服に隠された腕、胴体、脚は内部から引き締まって少年のようでもある。余分なものは一切ない。軸たる骨格を中心に付くべきところに必要十分なだけの筋肉、脂肪、腱、その他諸々のパーツが配置され、完全のきわどい均衡の保たれる一点に彼女の肉体は存在していた。

 形而下の肉体のみならず形而上の精神もまた美しかった。美しい肉体を操り動かす武藤の心はぶれるということがなく、それゆえたとえば歩くときに一歩一歩踏み出される脚の動き、前後に大袈裟でなくゆったりと振り動かされる左右の腕、袖口からのぞく白い拳、まっすぐ前を見る鋭い輪郭を持ちながら凪のように穏やかな瞳、決して余計な力を入れずに引き結ばれた薄い唇、それらを美しい形と動きの状態に保ち運用しているのはまさしく彼女の精神であって、ひとり歩く姿に和久田は幾度となく見惚れてしまった。

 細くも確かな凛々しさを感じさせる直線的な眉から目へ口へと視線を下ろすとその途上にはごくごく緩い曲線を描く鼻骨格があり、続く軟骨は骨の曲線を完璧の言葉と同じ具合に引き継いで、鼻先と唇とをつなぐ人中のくぼみは彼女の細い手指が新雪の上に一本引いた筋のよう。

 中でも和久田は彼女の首筋を注視した。白く、影が落ちて、運が良ければ青い血管が薄らと浮かんでいるのを拝める細い首筋。左右から正面へ喉笛を挟んで二本の筋肉が通る首筋。皮膚に覆われた小さな声帯はどのような形をしているだろう。背面に浮き出た脊椎や側面に走る頸動脈はきっとこの世のどんなものよりも美しいと思うし、同時に彼女の目の前に跪きたいとも思う。表立ってこそないものの病とも狂信ともいえる感情を和久田は獲得していた。

 チャイムが鳴った。和久田も井坂も西門も、女子と歓談していたフェルミも、めいめい席に着いた。和久田が席に着いた時、武藤は本を閉じて机にしまい、入れ替わりに教科書を取り出したところだった。


 自宅に帰るや否や、フェルミは和久田家にあがりこみ、和久田の自室でベッドに横になって漫画を読んでいた。「自分の家だと一人で寂しいんですよ」とはフェルミの言である。曰く追って引っ越してくる者が複数いるそうだが、どこまでが本当なのかは皆目わからない。

「ワンピースとか読まないんですね、不思議です」

「兄の趣味がけっこう移ってさ」

 フェルミが読んでいるのはもう二十年ほど前に連載されていた少年漫画だった。世界的な名声こそないものの名作の一つにしばしば挙げられるらしい。和久田はそれらの漫画をよく読むので漫画自体は知っているが、一方でそれらの漫画の周辺の情報については疎かった。

 フェルミが漫画を読んでいる一方和久田は宿題に追われていた。一応進学校という位置づけなので、課題の量も質もそれなりに厳しい。フェルミが勉強しているところを見たことがないが一体どうしているのだろうか。これもわからないことの内の一つだった。

 ポテトチップスの袋を広げていたフェルミが中のものを全部口へ流し込み、飲み込み終えると同時に、こう言った。

「もう願いは決まったんですかね?」

 その瞬間部屋の中の空気が唐突に振動した。フェルミを中心に放射状に広がった違和感の波が渦巻き、彼女に背を向けていた和久田が驚いて振り返った時には高校生フェルミ瑠美の姿はかき消え、代わりにゴスパンク調の被覆を纏った青髪青眼の童女《パルタイ》フェルミがベッドに腰かけていた。

 二月の終わり、高校受験を終えて一息ついていた和久田の耳にはパルタイという名前の集団にまつわる噂が届いて久しかった。古今東西どこにでもあるような話がなぜ二十一世紀の川崎に生まれたのかは疑問だったが……のちのち知ったが、川崎の外にも、彼らパルタイの存在は知れ渡っていたようだった……夕焼けが空を橙に染め上げたその日、和久田徹は偶然か必然か、そのパルタイの一角フェルミに遭遇することとなったのである。

 ――お願いごとは、ございませんか?

 彼女は開口一番こう問うた。スピーカーを通したわけでもないのにノイズが混じって聞こえる奇妙な声をしていた。

 ――ワタクシ、パルタイのフェルミと申す者です。

 ――パルタイ?

 和久田は鸚鵡のように聞き返した。

「あの?」

『ええ。あの、パルタイです。貰うものさえ貰えれば、何でも願いを叶えられる、《パルタイ》』

 彼女……その影は小さく、レースでできたスカートを履いて、子供の声をしていた……は全身黒く、髪と瞳と腹に刺繍された山羊の頭蓋骨は靑そのものの青い青色に光り輝き、夕焼けの暗い光と宵闇の中でもまったくその色合いを失わなかった。そして右の肩口には「1」、左には「4」の字が光っている。

 彼女はシルエットこそ人間と同じであれ、尋常ならざる奇怪な姿をしていた。しかもその人物は次の日には和久田家の隣にあるアパートに引っ越してきて、フェルミ瑠美という名前で平然と近所づきあいを始め、挙句高校生を名乗り和久田と同じ高校、同じクラスに所属しているのである。

 要するに、これが和久田の秘密の一つ目だ――フェルミ瑠美の正体が《パルタイ》であると知っていること。

 和久田は手のひらでゼンダー、一月からフェルミに持たされているものを転がした。トレーニング用のハンドグリップのように順手に握った時に手にフィットするような造りをしており、親指の側の端には鮮やかな青色の丸い押しボタンが付いている。「願いごとが決まったらすぐにボタンを押して私を呼べ」と彼女は言っていた。これはそれ自体が《パルタイ》へ現在地を発信する通信機の機能を持っていて、これまたフェルミから手渡された「特殊加工済み」の黒いナイロンのような質感の巾着袋に入れておかないと、曰く「電波が漏れて」その存在を悟られてしまうらしい。事実このゼンダーは非常に弱いものの《変化》した時のフェルミと同じ、得体の知れない感覚を発していた。

 そう、非常に弱い。ゼンダーに比して、フェルミがこの姿になった時に感じる、言うなれば「異様さ」はずば抜けている。

「それ、今回で三度目だけど本当にばれないんだろうな」

 左右の肩口には大きなブラックレターの「6」「1」が浮いている。

 数字が変わっていることに、和久田は不吉なものを覚えずにはいられなかった。よくある話だし、ありそうでもある……サタンが人の願いを叶えて魂を貰っていくのと同じように、パルタイもそうしているのではないか。パルタイの譲り受ける対価とはすなわち人の命なのではなかろうか。そう疑ってやまない。

『ばれませんて。で、どうなんです』

「今朝からの今で決まるわけないって」

『今日もムトウさんをじろじろ見てましたよねえ?』

 見抜かれていたとは思っていなかった。万全の注意を払っていただけに意外さも大きく体にも驚きが出てしまう。体が固まったその隙をついてフェルミは怒涛の勢いでまくしたてた。

『ほらほら素直になればいいじゃないですか、惚れ薬なら作れませんけど洗脳ならお茶の子さいさいですよ? ええ、何でもござれですとも。そういえば、ええと仮面ライダーの話もしてましたよね? 昔はお兄さんとよく見てたって聞きましたよ? ああ今もでしたっけ。ああいうヒーローものに憧れるってのもまた男の子らしいというか、いいですよねえ。それっぽいことしようっていうんなら協力出来るかもしれませんよ?』

 フェルミの滝のような言葉の一部は和久田にとって図星ともいえるものだった。彼にはかつてあの赤の、また同時に青と緑と紫でもある英雄に憧れ、またそのようでありたいと思ったことがある。その願いは後に諦めに変わるが、それは彼の目標とする人物が変わっただけで、今にして思えば本質的な解決ではなかった。そしてその二つ目の目標も改めて否定され、今の和久田がある。しかしどうだ、その今になってさえ、未だに和久田はかつて自らを救ったあの少年への、何よりあの英雄への憧れを捨てきれずにいるのだ。

 二度の諦めを経てさえ、和久田徹という人格は何一つ変わっていない、結局のところあの英雄に憧れて、今まで来てしまった。

「確かに、願い事みたいなのは、あるよ」

『じゃあそれでいこうじゃありませんか!』

「その、なんだ、フェルミ。おれのこれは、叶えちゃいけない部類の願い事なんだよ」

『ふうん?』

 フェルミはいかにも不服そうな顔をした。

『そんなものがこの天と地の間にあるなんて思えませんけどね』

「あるさ。色々」

 和久田は机に正対する形で座り直して、机に突っ伏し、これ以上はとりあわないというポーズを決め込んだ。

 和久田の秘密は三つある。一つは日伊系アメリカ人の留学生が人間以外であるとしていること。二つは、己の無力、不適格を知りながらなおもクウガに憧れ続けていること。そして、第三は――。

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