第62話 暴れるドラゴン
時間は少し巻き戻り芸戦で1人魔王サタンは新作のビートDJマニアⅡDXサブストリームに熱中していた。
「新曲がヤバイな今回・・・ちょっときいてなって曲が凄い耳に残るぞ・・・」
魔族の三柱の1人である魔王サタン、彼は日本の有名なあの名言を歌ったこの曲が妙に気に入っていた。
「つか・・・よしなり君って誰だよ・・・」
歌詞に突っ込みを入れながらも楽しそうにプレイする魔王サタン、だがその背後に数名の男が立っていた。
その気配に気付きつつもなにか手を出されるわけではないので気にせずにプレイしている魔王であったが・・・
「ぐぅぅ~このMacho Gangとか言う曲難しすぎるぞ・・・」
3曲目に選んだ☆5の新曲、ムービーで白い手袋に顔を描いて赤い舌がベロベロでるシーン等に意識が持っていかれゲージが到達せずに終了してしまった。
一応ゲームが終了すれば後ろに立っていた男達に順番を譲る魔王サタン、連コインはマナー違反だと理解しているゲーマーであった。
「よし、終わったぞ。早速作業に取り掛かれ!」
「お客様、本日はこれにて閉店でございます」
「なっ?!なんだと?!」
突然男達が筐体を運び出し店員が突然の閉店宣言を行なってきた。
抗議しようにも尋常なら無い様子に渋々店を追い出された魔王サタンは筐体が次々と運ばれていく先を見て納得する・・・
「あっ・・・忘れてた・・・」
そう、この国に戻ってきたのは娘に言われて戦争を何とかする為なのだ。
それを思い出した魔王サタンは急ぎ足に城壁へ向けて駆け出す。
その時、膨大な魔力の膨れを感知し立ち止まった時であった・・・
世界が揺れた!
「うぉっ・・・ぬっぬぅぅ・・・」
周囲の人々も地面に四つん這いになり揺れる振動に耐えている様子が伺えた。
振動が治まり誰もが安堵した時であった。
その魔力の塊に気付いた魔王サタンは城壁へと駆け出した!
「うぉっ?!なんだなんだ?!」
世界が揺れるほどの振動に飛び起きたのはコンマイ国へ戦争を仕掛けている魔物軍の最高司令官ベルゼブブであった。
蝿の手でベットにしがみつきながら揺れの収まるのを待って外へ飛び出したベルゼブブ、その状況を見て困惑した。
「おいっ!なにがどうなってる?!陣営の魔物達が随分と少ないぞ?!」
「これはベルゼブブ様、おはようございます。魔物達は逃げました」
「はっ?逃げた?」
「はい、既にあの国を攻め続けて一方的に蹂躙された上にドラゴンすらも一撃で倒されて乱心し魔物を自ら喰らい始めたのです」
「なっ・・・」
ドラゴンが倒されたと言う事にも驚いたが自ら魔物を喰らい始めたと言うのが最大の問題であった。
あのドラゴンは魔族の魔力を糧に生まれた存在である、即ち魔物を喰らえば喰らうほどその特性を取り込み強大な力を得る事となる。
「それでさっきの振動はドラゴンが?」
「いえ、どうやら人間達の攻撃のようです」
「え”っ・・・」
フラフラと上空へ浮き上がりベルゼブブはそれをその目で見た。
ありえないサイズまで巨大化したドラゴンがコンマイ国の城壁前に出現した魔法の壁に押しとどめられているその様を・・・
「俺たちは・・・とんでもないやつらに手を出してしまったのかもしれないな・・・」
「近くに音ゲーがあるやつはをプレイしろ!」
ガイルのその言葉に慌てて近くに在る音ゲーをプレイ開始する者達。
そのプレイした時に発生する魔力をガイルは先行者に集めさせ直ぐに巨大なバリアを城壁前に出現させた!
それと同時に襲ってくる激突の爆音と衝撃!
「よし!なんとか耐えられそうだ!」
壁を作って押し留めるのだけなら全音ゲーを稼動させればなんとか出来るとこれで証明された。
だがドラゴンの周囲に出現しているモヤの様な物が全ての攻撃を防いでいるのか放たれた矢や魔法はドラゴンに届く事は無かった。
全てモヤによって防がれていたのだ。
「くそっ・・・このままじゃ・・・」
そう、音ゲーの1曲の時間は約90秒~110秒。
曲が終わると今張られているバリアはその出力を維持できないのだ。
まさに万事休す。
そう考えた時であったがドラゴンに変化が訪れた!
突然振り返り物凄いスピードで飛び出したのだ!
「たすかったのか?」
ガイルの言葉に誰もが脱力してその場にへたり込む。
後10秒あのまま向かわれていたら間違い無くドラゴンは城壁に激突していただろう。
そうなればこの場に居る誰もが死ぬか大怪我を負っていたのは必須。
コンマイ国王すらもここにいるのだから一命を取り留めた事に安堵するのは仕方ないのである。
そして、彼等はそれを見てしまう・・・
「へっ?」
コンマイ国の様子を見ようと空高く飛び上がったベルゼブブ、三柱の魔王の1人であるその魔力量は他の魔物とは桁違いに高い。
その魔力を感じ取ったドラゴンは迷う事無くコンマイ国よりも先に空に浮かび上がっているベルゼブブに向かって移動したのだ。
ベルゼブブが変な声を上げて物凄いスピードで向かってくるドラゴンに唖然としている間に目の前までドラゴンは接近していた。
余りの速度、余りの巨体。
ベルゼブブが口を開いて何かを言おうとした次の瞬間にはその体はドラゴンの口内へ入りそのまま飲み込まれてしまうのであった・・・
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