第28話 ドラムフリークスにハマるドワーフ
『ドラムフリークス』
音ゲーの中でも打楽器を最初に取り入れた物である。
椅子に座り5箇所の叩くポイントと1つのペダルを操作して演奏するゲームで基本的に裏方役と思われていたドラマーが主役になれる音ゲーである。
椅子に座る事もそうだが2本のスティックを手に持ちプレイすると言う独特のプレイスタイルはドラムを見た事はあってもやった事が無い人にドラムの魅力を教えるのには最適であった。
叩く!
人には破壊衝動と言う物がある、叩くと言う行為にはストレス発散の効果もあり毎日の仕事で溜まったストレスをこの音ゲーで発散していた人も多いだろう・・・
「この兄ちゃんずっと寝言でなんか言ってるぞ?」
「ほっとけ、とりあえず言われた通り高さの丁度いい椅子と木で作った棒を2本用意したぞ」
「よし、早速ワシがプレイしよう!」
「いや、ここは俺が先に!」
「いやいや、俺が先に・・・」
「いやいや・・・」
「いやいや・・・」
「じゃあ俺が!」
「「どーぞどーぞ」」
ロクドーが寝かされている横で3人のドワーフによる漫才が何故か行なわれ一番若いドワーフが始めての音ゲー体験をする事となった。
手作りされたスティックを手に持ちコイン投入口に指を当てて魔力を入れるとタイトル画面が現われた!
「動く・・・こいつ動くぞ!」
絶対このドワーフは日本のテレビを見ているに違いないとロクドーが起きていたら考えていただろう。
そんなドワーフは早速ゲームをスタートする。
「な・・・なんじゃこりゃ?!手と足が別々にうごかねぇ?!」
そう、人体について学校の保健体育で学んだ人も多いと思うが人の体と言うのは神経で動いている。
その為、手と足を別々に動かすと言うのは非情に困難なのだ。
特に問題なのが脳から発せられた信号は首で一度クロスして手へ行き、足に到達するまでにもう一度クロスする。
なので人は右手と左足が、左手と右足が同時に動きやすく出来ているのである。
そしてそれはドワーフも同じであった。
「あぁまたやっちまった!」
初心者に良くあるドラムマニアをプレイしていると金属音が響くと言うのが異世界でも実証された。
タムを叩こうとして動かしすぎて金具の部分を叩いてしまったのである。
そうして誰もが失敗を重ねて徐々に上手くなるのが音ゲーの面白さ・・・
それは彼らの表情を見ても分かるだろう・・・
「おい!この鬼オンマンとか言う曲面白いな!」
「もっと難しいのやれよ!」
「次俺はREALとか言うモードやってみるぜ!」
いつの間にか目を覚ましたロクドーはドラムフリークスに熱狂するドワーフの三人を微笑ましく見詰め予備で作られたスティックを人差し指と中指の間でクルクルと回すのであった・・・
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