第2話 異世界で初めての音ゲー稼動!
『ビートDJマニア』
日本で1997年年末に稼動した音ゲーの先駆けゲームにして業界に新たなジャンルを確立した伝説のゲーム。
プレイヤーはクラブのDJになった気分で画面に表示される譜面を5つの鍵盤とレコードを模した円盤を使い演奏しオーディエンスを満足させゲージが一定量を曲終了時に超えてたらクリアとなる。
「そんな・・・まさか・・・うそ・・・だ・・・ろ・・・」
「ご主人様?ごしゅ?!誰か!誰かー!!」
ロクドーはその記憶にある筐体の出現に驚きながらその意識を手放した。
「どうですか?」
「魔力欠乏症ですね、でもここまで激しいのは始めて見ました。」
声が聞こえてゆっくりと目が開く・・・
「ご主人様、大丈夫ですか?」
「あぁ、エミに・・・来てくれてたのかアリス」
「あんたの所のエミが駆け込んで来てね、ご主人様が倒れたって凄い焦りようだったよ」
「ア、アリス様?!」
「そうか・・・すまないな二人共」
体をゆっくり起こして視界がフラフラする中ステータスを確認する。
この世界では念じる事で自らのステータスを確認する事が出来るのだ。
ロクドー
LV.13
HP:500/500
MP:13/1350000
ん?見間違いか?
MP:13/135000
「なんじゃこりゃあーーーーー?!?!?!??!!」
ロクドーは驚きを隠せない、それはそうだろう、MPの最大値が明らかに異常なのだ!
ロクドーの驚きに二人は遂に脳までやられたかと心配するが深呼吸してアリスに尋ねるロクドー
「なぁアリス、俺のMP最大値がおかしいんだが・・・」
「ん?多分魔力欠乏症のリバウンドだね、一回で限界量以上のMPを消費する魔法を使うと限界値がそれに準じた値になるってやつさね」
手渡されたMPを回復するアイテム『エーテル』を飲みながら話を聞く・・・
そして、思い出した!
「そ、そうだエミ!あれは!俺が出したあれはどうなった?!」
「あの黒い箱みたいなやつですか?まだ部屋に置いてありますが・・・」
「アレ?あんたが倒れた原因かい?」
「そうだ、アリスちょっと見れくれないか?」
そう言って寝室から奴隷商の事務所にある空き部屋に置かれたそれの前に来てアリスは目の色を変える。
「な・・・なんだいこれは?!」
珍しい物に目がないアリスだったがそれを見て驚きの声を上げる!
それはそうだろう、時代的に中世くらいの文化しかない時代に近代日本に存在したそれが在るのだから。
プラスチックや透明なガラスなんて存在しない時代にDJを模したゲーム機があればそうなっても仕方がない。
そして、アリスがコイン投入口に指を触れた時にそれは起こった!?
「ひゃん?!」
「ど、どうした?」
「え・・・MPが吸い取られた・・・えっ?!」
コイン投入口にアリスが指を触れMPを吸い取られたと同時に何も映ってなかった画面が明るくなりこの世界の言葉で『スタートボタンを押して下さい』と表示されていた?!
恐る恐るアリスが指示通りにスタートボタンを押すとゲームが始まった。
それを3人共何も言葉を発する事無く見守る・・・
「こ・・・これでいいのかな?」
表示された説明文を読みながら操作をしてモードを選び表示されたレコードに書かれた曲名と星の数が難易度だとなんとか理解したアリスは一番簡単な星1つの曲を選択する。
『うーごったぐるーぶ』
そう表示された曲名はロクドーが忘れもしないこのビートDJマニア、通称Dマニの初心者が最初にプレイするであろう伝説の曲。
まるでターミネーターみたいな男が画面に向かって手を近づけるモーションを記憶に残している人も多いだろう。
ぱららら ぱらら ぱららぱらら・・・
自然と演奏しながら体が上下に揺れるアリス。
その表情は今まで見た事もないそれに対して興奮すると共に純粋に演奏を楽しんでいるのが分かった。
この時代の日常生活に置いて音楽に触れる機会なんて酒場の吟遊詩人くらいしかいないこの時代に自らが音楽を演奏できる!
しかもこの時代に存在しない楽器での音でだ。
未知の物への好奇心はやがて自然と本能的に演奏すると言う事を植えつける。
エミも聞いた事の無いその音楽に自然と体がリズムを取る。
そして、その音楽はこの建物内の奴隷達にも届き近隣の人達もその音楽に驚きながら奴隷商の建物を囲っていた。
この世界で初めて音ゲーが動いた瞬間であった。
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