第9話 鬼編 異変の始まり
昔昔のお話。
かつてこの日本には、妖怪や神様や人間が共存していた時代があったという。
しかし、人は弱くて少しの諍いで簡単に死んでしまう。
妖怪と神様は考えた。
人間はすぐに死んでしまうから叩いたりするのは良くない。
でも、一緒に暮らしていたら小さな諍いは必ず起こるし手が出る事だって当然あるだろう。
じゃあ住む世界を分けようか?
妖怪、人間、神様。
みんなが違う世界に住んでいれば良いんじゃないか。
そうだ、それがいい。
でもそれは出来なかった。
妖怪の力でも、神様の力でも世界を作り上げる事は困難だった。
どうしようかと悩んだが、答えは出なかった。
悩んでいる間に、人間は途方もなく数を増やし文明を築き上げていった。
それに伴って人間は妖怪を、神を迷信と決めつけるようになってしまった。
存在を否定された妖怪も神様もどんどん力を失っていき、最後には人間とほとんど変わらない、弱弱しい存在になってしまった。
でも、妖怪も神様も消えた訳ではなかったから人間の社会に溶け込んで生き延びることにした。
それに反発する者は当然居たし、それを抑え付ける為のケンカも多かった。
時代が進んでもそれは変わらず、稀に起こる先祖返りが暴れる事もあった。
だから妖怪と神様はある決めごとをした。
「人間の世界で生きる為に、力を封じておこう」
そして、時は平成。
北国の内陸に、小さな小鬼が生まれ落ちた。
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