第11話 鬼2
僕が佐藤に啖呵を切り、決定的に対立してから一月。
正直に言って状況はそこそこ程度ではあるが悪い。
アイツがやってきた攻勢は僕を孤立させようという策略なんだと思う。
まず、自発的に僕に話しかけてくるクラスメイトが減った。
これは元からそう多くもなかったから痛手とは思わない。
しかし律が厳しいような気がする。
ようやく気を許せる友人たちが出来たと思った矢先に佐藤が始めた嫌がらせ。
これに巻き込まれたくないという気持ちは理解できるし、それに文句をつけるのは筋が通らない。
なぜならこれは僕が始めた戦いなのだ。
他人が勝手に喧嘩を始めて、それに巻き込まれるのを恐れたからと文句を言われても困るだろう。
最も、律に直接的な危害を加えようと言うならクラスメイトだろうが知ったことじゃない。
排除するだけだ。
とは言え、何も佐藤の嫌がらせに屈した連中ばかりじゃない。
ハッキリとは名言してくれないが、僕達に協力と言うか未だに疎遠にはならずに居てくれるクラスメイトも確実に居る。
例えば、律の親友とも言える姫岸さん。
それに僕の数少ない友人の武田くん。
並びに、その二人の友人たち。
姫岸さんと武田くんは完全に佐藤とは袂を分かったタイプで俺たちに味方してくれると明言している。
…僕としてはどうも完全には信頼できないんだけど、律は相当に喜んでいるので僕としても無碍には出来ない。
ついでに言っておくと、こちらも黙ってやられてばかりじゃない。
平和的に佐藤を取り巻く連中と対話している。
佐藤がいかに非道な事をやってきたのか、そしてこれから何をしようとしているのか。
それがどうしたと開き直るヤツが多いが、やはり説得に応じてコチラ側に付いてくれるヤツもいる。
やはり警察沙汰になると言われれば躊躇もするのだろう。
そいつらに話を聞いた限りでは、佐藤は裏で中々粗暴な振る舞いをしているようだった。
アングラな連中との付き合いはないらしいが、油断は出来ない。
調略線はこちらも負けられないから必死にもなる。
手段は選ばないと佐藤みたいになってしまうが、やるとなったら躊躇はできないだろうな~。
なんせこっちは律という恋人が掛かっているのだ、グズグズと迷っていたら何をされるか分からない。
律も佐藤には不快感しか感じないらしく、そうそうあんな男に靡くことはないだろう。
後、タマが気になることを言っていた。
隣の市で生きている鬼の一族から謎の謝罪を受けたのだとか。
これを聞いた時点で僕は理解できた。
恐らくは佐藤が鬼の関係者なんだと思う。
昔から質の悪い鬼は人を攫ったりするという話があるし、色魔で強欲な鬼が居てもおかしくはあるまい。
例え鬼だろうが悪魔だろうが関係ないけど。
僕の律をどうこうしようと言うなら…徹底的に叩き潰すだけだ。
…僕ってこんな考え方するヤツだったっけ…?
以前の僕はこう…なるべく色んな人との付き合いを避けてきたような気がするんだけどな。
まあ良いや。
律と出会って、付き合い始めて良い変化があったって事なんだろう。
絶対に負けられない。
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