第123話虫

たっちゃんは、病院のベットで意識を取り戻した。


太郎と春男は、たっちゃんに話しかけた。


「たっちゃん、大丈夫か?」


太郎がたっちゃんの顔を覗き込んで聞いた。


「ああ、大丈夫だ。ところで健太郎、いや、ドラゴンフッシュは?」


「見つからない…。」


「でも、おかしいぞ、鑑識で調べたら埋められていたのは間違いなく、健太郎本人だったぜ。ドラゴンフッシュが変装の天才でも死体にはなれないぜ。」


「そこなんだ。」


太郎とたっちゃんは、同時に言った。


「ドラゴンフッシュは、本当に体を変化させてるんだよ。」


太郎は、屁をしながら言った。


「どんな、体だよ?」


春男が太郎に聞いた。


「虫だよ。人工知能のね。」


「は?」


たっちゃんも頷いた。


「ドラゴンフッシュは、虫になって人間の脳を支配してその人間そのものになれるんだよ。」


太郎は、静かに言った。


「は?バカバカしい、そんなのSFの世界の話だろ?」


「春男ちゃん、そのバカバカしい事をするのがドラゴンフッシュなんだよ。」


たっちゃんは、春男に言った。


「じゃあ、その虫とやらはどこにいるんだよ?」


「後味が、悪いけど永久に捕まえる事は出来ない。」


太郎は、窓の外の雨雲を見て言った。


病室には、異空間をさ迷ったような空気が流れた。

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