第98話ハッキング


「おはようございます、佐藤さん。」


「おはようございます、木村さん。さっき喜多島さんが来て警察のパソコンが…。ハッキング?されたみたいですよ。」


「おお!ハッキングですか。それは大変だ。警察は色々ヤバい情報がありますからね。」


「内部告発的な?」


野部も仮眠室の扉を開けて聞いてきた。




「内部告発か、いっぱい告発したいけどな。」


太郎は、笑いながら言った。


「そんな事言ってる場合じゃねーぞ!」


春男が厳しい顔をして言った。


「ノックぐらいしなよ。」


「うるせー!ハッキングされたって事は家族にも危ない事なんだぞ!特に太郎に逮捕された人数は尋常じゃないんだからな。」



「ふーん。そっかあ。困ったね。」


「木村さんは、マイペースですね。」


佐藤さんは、笑いながら言った。


「あずあずも危ないかもしれないんだぞ。」


「あずあずなら大丈夫。超極秘だし俺もその対象でただの平刑事だから。」


「そうか。」


肩から力が抜けたように春男は言った。



「だから俺と仕事をしている、春男ちゃん、野部ちゃんも超極秘だし、佐藤さんは元々どこのおじいちゃんか分からないからね。」


「本当か?」


「うん。でも他は心配だ。」


「何でだ?」


「復讐という言葉がある。」






そして前科のある男を木村太郎チームは監視下に置く事になった。


仮眠室で男はぐったりとしていた。


朝から被害者の家族から襲われたのだ。


「警察なんてクソだな、俺一人守れないなんて。」



「クソはお前だろ、婦女暴行しておいてよ!」


春男は、男、一条守に言った。


「俺には犯してやっと成立するのが愛なんだよ。」


「何だ、その屁理屈は?お前なりの哲学か?」


一条は、小刻みに震えてきた。


「薬でもやってるのか?」


春男が聞いた。


「精神薬が切れたんだ。だから、震えが止まらないんだ。」


「精神薬?お前みたいなゲスは震えて死ねば良いんだ!」


「春男ちゃん言い過ぎだよ。幻覚、幻聴はある?」


太郎が優しく聞いた。


「ある、薬がないとダメなんだ。」


「野部ちゃん、この人のアパートまで行って薬取って来て。」


「了解です!」


慶一郎は、急いで仮眠室から出て行った。


「余計な…。」


「言葉とは裏腹に苦しそうだな?」


春男は、この手の前科持ちが大嫌いなのだ。


「俺が裁判官だったら即死刑台送りにするのによ。」


「喜多島さん、大丈夫ですか?」


佐藤が、興奮してる春男を宥めている。


「すみません、こういう奴は生理的に嫌いなんですよ。」


苦虫を噛んだような顔を春男はしている。

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