第75話切り裂き魔


喜多島春男は、こっそり仮眠室に入って来た。


太郎も慶一郎もこたつの中で眠っていた。


「起きろ!」


と春男はバケツを叩いて二人を起こした。


「普通に起こしてよ。」


太郎はめんどくさそうに目を覚ました。


慶一郎は起きない。


「さすが、お前の相棒は起きないな。度胸が良いな。」




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「確かに、耳栓してるもんね。春男ちゃん対策だよ。」


「お前ちゃんと家帰ってんのか?」


「うん…。」


「あずあず泣かしたら許さないぞ。」


「はい、はい。で?何か用事?」


「事件だよ。」


「そっかぁ…。」


「通り魔か…。」


「何で知ってるんだよ?」


「ニュースやってるし。」


太郎は、欠伸をしながら言った。



春男は、こたつに入ってきた。


太郎はみかんを食べはじめた。


「通り魔か…。」


「ちゃんと捜査会議出ろよ。」









小型の盗聴器を太郎は春男の前に出した。


「これで聞いてたって事か。」


「捜査会議って苦手なんだよね。春男ちゃん、犯人分かった?」


「分かるわけないだろ、俺は、刑事じゃなくて鑑識なんだからよ。」





「遺体はどんな状態?」


「バラバラだよ。しかも他人の遺体の部位まで見つかってよ。」


「それじゃあバラバラ殺人事件じゃん。何で通り魔なの?」


春男は、明らかに動揺した。


「警察官僚の息子がやったらしいんだよ。だから今は、通り魔にしてるんだよ。」


「隠蔽じゃん。」


春男は黙ってしまった。


「恐いなって警察って。」


「太郎、お前も一応警察官だろ。」


みかんを食べながら春男は言った。


「俺は、独立国の刑事だからさ。」


「まぁ、そうだな。お前は。俺がいなきゃ即クビだぞ。」


「そうかもね。」


「春男ちゃん、遺体見せてくれる?」


「良いけど高いぜ。」


春男はいやらしい顔をして笑った。


霊安室に太郎と春男は入った。


「あらら…綺麗にバラバラだね。」


「スゲーだろ?細かいほどに解体して、パーツが綺麗に並べらてるんだ。今は、犯人は医療関係に詳しい人物だと推測しているんだよ。」



「それは、どうかな…。包丁を使ってる料理人って事もあり得るんじゃないのかな?」


「それじゃあ犯人しぼりこめねぇよ。」


「やっぱり警察官僚の息子じゃないの?」


「それが濃厚な線だな。」


「医学部の学生らしいからな。」

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