第67話人質


木村家ー


「あずあずさぁ、今日相談窓口に誰が来たと思う?」


「さぁ?」


「春男ちゃんだよ。半べそかいてたよ。」


「仕方ないよ、木村太郎刑事が捜査に非協力的なんだからさ。」


太郎は、苦虫を噛んだような顔をした。


「今回は、太郎ちゃんは相談窓口にいていいからさ。」


待ち合わせ当日-


春男は、真っ青な顔をして仮眠室の中を歩き回っている。


「男でしょ!もう、諦めたら。」


梓が冷たく春男に言った。


「あのねぇ、これに男女は関係ない。男女平等じゃん。」


「緑にチクるよ!」


「分かったよ…男見せるよ。」



21時ぴったりにぶつぶつ言いながら春男は、○○倉庫に到着した。


倉庫の中に入るとテレビのスタジオらしきものがセットされて春男を拍手で迎えるギャラリーが大勢いた。


MCらしき男が春男を中央に立たせた。


「勇敢なる喜多島春男さんに盛大な拍手を!」


あまりの拍手の数で春男は一瞬ホワーンと優越感に浸った。


「人間解体ショーが始まります。」


春男は、歯医者で良く見かける椅子に座らせられて縛られた。


やべぇ、もしかしてこいつらみんなスプラッター好きか…。


「今日は丁寧に足からいきます。」


ダメだ、倒れそう、てか倒されてるし。


「そこまでよ!警察です。」


あずあず登場。


ちょっと遅くない?


さっきまでの優しい司会者は消えていた。


次々に警察が入って来て皆、逮捕されて行く。


梓は、写メで春男の写真を撮っている。


「あずあず!写メ取る暇があったらロープ外してよ。」


「これは、記念というか証拠ですから。それより春男さん、お漏らししてますよ。」


春男は、小便を漏らしていた。


「緑には見せないでね。」



結果、逮捕されたのはギャラリー達全員だ。


皆、会社で社長とかしている人間が多かった。


警察署の仮眠室で梓に春男はきかされた。


「社長とかしてると病むんですね。」


肝心の司会者はいち早く逃げた。


和月旬だったかどうかは不明である。




しかし、波紋は広がりを見せた。


逃走中に小学生を人質して倉庫に和月旬は立て籠った。


「なんだよ、俺の努力が無駄かよ。」 春男が苛立ってると太郎が仮眠室に入って来た。


「お手柄だね。春男ちゃん。」


「お前がやる気ないから鑑識なのに俺だぜ!」


心労で春男は、倒れてしまった。



立て籠りか…。太郎は、現場にいた。



和月旬の 説得は続いていた。


太郎は、捜査員の制止を振り切って倉庫の中に入って行った。


「和月旬さん彼を解放してきださい。」


和月は、子供に銃を突きつけたていた。


「くだらない、説教するなよ木村太郎さんよ。」


「もう一度言います、その子を離しなさい。」


「バカか?噂に聞いていた木村太郎とは違って残念だよ。」


「こっちもガッカリです風間君やって下さい。」


そうすると人質風間無限はあっという間に和月から拳銃を奪って回し蹴りを喰らわせた。





「風間君は、将来、アクションのスタントマン志望です。」


「てめー!それでSを入れてたのか…。」


「スパイを入れるのは基本的な事です。」


「この連続殺人は、まだ終わらねえぞ。あの人は捕まえられない。」


和月は、そう言うと携帯電話で自分撮りをしてこめかみに拳銃をつきつけて


バーイ!


と言って引き金を引いた。

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