第48話犬の憂鬱
ルナとレナがじゃれているのを見て太郎は、目を覚ます。
レナは、ご飯が欲しいとベッドに顔を乗せて来る。
最近、太郎を見るルナとレナの瞳が責めているような気がする。
何を懇願しても叶えてくれない飼い主に愛想を尽かせたような態度。
ご飯飼い主と化してる自分に気が付き梓に相談した。
「それは、木村さんが遊んであげないからですよ。」
「遊ぶ?」
「もしかして犬の気持ちが分かってませんね?」
「当たり前だよ。太郎は、人間の気持ちだって分かってないぜ。」
春男は、ゲラゲラ笑ながら仮眠室でサボってるくせに豪快に笑った。
「何か、春男ちゃんって説得力あるね。」
「どういう意味だよ?」
「緑ちゃんに捨てられないようにね。」
春男は、痛いところを突かれたように胸を抑えて顔を歪ませた。
「とにかく公園とかに散歩させてあげるのが一番です。」
梓の言葉を借りて太郎は休みに近所の公園まで歩かないルナをおぶり思い切り引っ張るレナの綱を掴んでやって来た。
小学生にはルナとレナはアイドル扱いを受けて太郎は首をひねった。
可愛いのか?ルナとレナは…。
梓を電話で呼んで指南してもらった。
しかし、太郎にはイマイチ犬の気持ちが分からないまま夜になった。
翌日、仮眠室に梓が入ると太郎とルナとレナがいた。
「え?」
「いやー、前からここに連れて来れば良かったんだよね。これならルナもレナも寂しくないし。」
「はぁ…。」
すぐに太郎は、奇想天外な事をする。
春男も後から入って来てレナのウンチを踏んでショックを受けてトイレに駆け込んでしまった。
太郎が、ルナとレナを見つめる眼差しが少し優しくなったと梓は感じた。
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