第49話モルモット


本当にわたしは正しいのか?


それを決めるのはあなた自身です。


先生は、人生の後先を考えますか?


あなたは魅力的な患者だ。

頭も良いし、分析力にも長けている。

しかし、足りないのが行動力だ。

その行動力こそ君を動かす。


暴力、sex、破壊これら全てを解放へと向かわせる。


素晴らしい未来が待ってる。


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某ビル屋上にて男性の遺体が見付かる。


外傷は撲殺。


「酷いですね。顔がめちゃくちゃですね。」


梓は、遠くの川を眺めている太郎を尻目に死体を見つめた。


「相当殴られたな、相手は男。サディスティク、かつ精神病。」


春男がビニールの袋に入った病院の診察券を梓に渡した。


診察券を見て梓は、興味深いと思った。診察券には患者の名前が記載されてなかった。



「そうですか…。しかし、守秘義務ですから患者さんの話しは出来ません。」


梓と太郎は、心療内科を訪れた。


「殺人事件なんですよ!あなたの患者が殺人犯だったらどうするんですか?」


「あずあず、先生を困らせてはダメだよ。すみません。若くて賢いんですが感情に流されやすく情に熱いので。」


「自分の部下をちゃんと分析してらっしゃるんですね。」


太郎は、失礼しますと言って納得のいかない顔をした梓を連れて外に出た。


「ちょっと!木村さんどうするんですか?」


「まぁまぁ、今回はデリケートな事件だから俺に任せてよ。」


珍しく太郎が自分が捜査すると言ったので梓は不信感を抱いた。


「それで帰って来た訳だ。」


「はい…。」


「どんな医者だ?」


春男は、ルナとレナに指を噛まれながら意気消沈している梓に聞いた。


「そうですね。理路整然していて無駄が無く…。美人でした。」


「ほぉ、女医か…。」


「木村さんは、何を考えているんですかね?」


「知らねーよ、アイツの頭の中見たら二度とは人間戻れなくなるかもよっていてーよ!」


今度は、ルナに春男は足を噛まれた。


「先生、これなら問題無しですね?」


太郎が、木佐木恵の前で聞いた。


「自分が患者になればわたしから話が聞けるとお考えですか?」


細い手首がカルテを開いた。


「いや、刑事ってのはドラマみたいにはいかずに実際は、上司から犯人を捕まえろ、捕まえろって事件が起きるたびにプレッシャーをかけられてしんどいんですよ。良くねつ造してこいつを犯人にしたてあげる方が楽かな?何て考えちゃうもんなんですよ。」


「刑事も、サラリーマンと変わらないと?」


「そうなんです。検挙率を上げろなんておかしな話しです。そもそも検挙率が低いイコール平和で安全な町なのに…。」


「そうですね。あまり、検挙率にこだわらずに地道に捜査されて最終的に検挙出来たら自分は最善を尽くした。凄い事をしたと褒めてあげてはどうでしょうか?」


「良い考えですね。先生は、患者さんに回復を求めていますか?」


木佐木は、深呼吸をして


「勿論です。」


と答えた。


「それが殺人鬼だとしても?」


「…。」

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