黒鬼さんが行く、異世界ぶらり旅。

近藤 護

第1話

「此処は何処だ?」


辺り一面は白く染まっていて何も見当たらない。

まるで死後の世界の様な不気味さが有る。


──ようこそ。赤羽君。


声が聞こえ、咄嗟に振り向くが誰も居ない。

辺りを注意深く見回ってもやはり誰も居ない。


──私は創造者。君達が言う所の神だ。


また、声が聞こえた。

しかし、神。ねえ。

何故に俺みたいな奴を喚んだのか。


──ふむ。その理由はだな。天照殿との賭け事で負けてしまったのだ。


はあ?!


──負けた方が魂を5000渡すと言うものでな。私が負けてしまったのだ。ただ、負けたとは言え此方だけが渡すと世界のバランスが崩れるので強い魂を持つ者を一人だけ選んで譲って貰ったのだ。


成る程な。それで俺がその強い魂だったと。


──然り。さて、君にはそちらの世界で言うキャラクターメイキングをして貰う。


何故に?


──幾ら強い魂を此方に渡らせた所で定着させなければ輪廻転生の環に入れぬのだ。それでは意味が無いだろう。


成る程ね。だとすると不老不死みたいな能力は得られないと。


──いや、問題無い。ただ、定期的に魂を分ける事になるが。


それって結局不老不死じゃ無くね?


──嗚呼、勿論魂と言うのは生命力と言う意味では無い。レベル、経験値を一部徴収すると言う形で魂を創るのだ。


それなら他の奴で良くないか?


──うむ。確かにそう思うかも知れぬが、強い魂の持ち主から受け取った経験値と言う所が重要なのだ。


ああ、そう言う事ね。


──もう、質問は無いのか?


ああ、問題無いモーマンタイだ。


──そうか。では、キャラクターメイキングを開始するぞ。


神さんの言葉と共に見慣れた機械──文明の利器パソコンが目の前に現れた。

そこには『ステップ1 名前を確定しよう。』と書いてあった。

さて、名前か。

リュウト、いやリュートにしようか。


名前を打ち込むと、画面が進んだ。


『ステップ2 種族を決めよう。』


人族 獣人族 エルフ ハーフエルフ ダークエルフ ハーフダークエルフ ハイエルフ ハーフハイエルフ 人魚族 魚人族 鬼人族 ヴァンパイア ハーフヴァンパイア 竜族 竜人族 龍族 龍人族 ラミア ゴブリン オーク オーガ サイクロプス ……etc


う~ん、人族、ハイエルフ、鬼人族、ヴァンパイア、龍人族が良いかな。

詳細はっと。


人族

世界で一番多い種族。

能力値は全体的に見て中位種族の半ばだが、その繁殖力と進化は目を見張る物が有る。


平均寿命

50歳

種族特性

成長

恒久スキル

無し


うん、いかにも人族って感じだな。

ただ、平均寿命が戦国時代だな。

と言う事は今から行く世界は中世並みの世界だと考えて良いな。

ありがたい事前情報には感謝だが、無しだな。


ハイエルフ

今ではその殆どが絶滅した種族。

エルフ種からは神格化して崇められている。


平均寿命

???

種族特性

精霊神の寵愛

恒久スキル

全属性適正


全属性適正は魅力的だが、絶滅しかけてる種族はちょっとな。


鬼人族

オーガが特異進化した種族。

その象徴として赤か青か白か黒の角が映えている。

その基礎能力は龍人族と対等であり、寿命もほぼ同じ事から親友とも言うべき友好関係を築いている。


平均寿命

???

種族特性

天賦の武才

恒久スキル

分魂


これは有りだな。

最有力候補として考えておこう。


ヴァンパイア

魔族の1種。

高い身体能力と血液を操る能力が特徴。

様々な種族を相手の意思に関係無く自らの眷族にする者が多いので、ネクロマンサー同様人族からも魔族からも嫌われている


平均寿命

???

種族特性

日光炎身

恒久スキル

眷族化 血液操作


無しだわ!


龍人族

世界最強の一角を担う種族。

人族にも魔族にも神族にもつかない、鬼人族と同じ絶対的な中立者。

人族の味方である竜人族からも魔族の味方である竜族からも神族の配下である龍族からも尊敬されている。


平均寿命

???

種族特性

龍化

恒久スキル

調和


うん、如何にも中立者な恒久スキルだな。

てか、龍化なのかよ!

まあ、これも候補かな。


さて、どうしようか。


鬼人族かな。

日本の事を万が一にでも忘れない様に、ね。


『ステップ3 外見を確定しよう。』


画面が進行すると、見慣れた自分の姿が映された画面に変わった。

背は少し高めの176センチ、細身ではあるが筋肉質では無い。

顔立ちはブサイクでは無いが、イケメンでも無い。所謂フツメンと言う奴だ。

取り敢えず、瞳の色を金色に。背を少し高くして180センチに。

顔は折角西洋ファンタジーの世界に行くので、少し彫りを深くする。

日本人だと分かるレベル──クォーター位の外国人っぽさ──で。

後、鼻梁を少し高くして鼻の穴を小さくする。

い、良いじゃん!コンプレックス何だからさ!

ついでに鱈子唇も直しておく。


『ステップ4 職業を選択しよう(3つまで)。』


俺が選択できるのはこれだけだ。


剣士 槍士 鎚士 侍 鎖使い 召喚師 魔導師 鍛冶師 錬金術師 忍者


あっ、これは簡単すわっ。

侍、魔導師、忍者だわ。


『ステップ5 ユニークスキルを作成しよう(3つまで)。』


ちょっと、長考させて。



はい、決まりました!(Youtuber風)


総庫 幻想級スキル

計四の保管庫からなるスキル。

知識を保管する記録庫。経験値を保管する経験庫。金銭や宝石類を保管する宝物庫。武具・防具・道具を保管する三具庫。


魔改造 幻想級

自らの魔力・精神力を使用、経験値を消費して武具・防具・道具を強化・進化させる。

使用する魔力・精神力と消費する経験値はその物の等級と改造後の効果と等級、強化か進化かによって比例して変化する。

完全複製 幻想級

全く同じものを創り出す。


まあ、こんな感じだな。


『ステップ6 その他希望は有りますか?』


そうだなぁ。

米が欲しいかな。出来ればもみ洗いした後の奴。

初期装備は刀と紺色の着物が良いな。

後、スタート地点は王都が良い。保証書は有りで、狭い路地で頼む。


──うむ。確かに聞き届けた。では、転生を開始するぞ。それと、自らのステータスは確認出来る様にしておいた。


ありがと。


そして視界は黒く染まっていった。

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