いつもと違うね

おしゃべりウサギ

第1話 いつもの今日

「ねぇ」

「なんでしょうか。」

「今日も今日のまま終わるのね。」

「左様でごさいますね。」


いつもの買い物にいつもの散歩。

いつもの習い事にいつもの自由。


「この服どうかしら?」

「お似合いでございます。」

「いつもの台詞ね、ガレイ?」

「そんな事はごさいません、大変素敵でごさいますよ、トロアお嬢様。」


街中を歩く2人の影。

1人は洒落た服に身を包んだ少女、

もう1人はその少女のすぐ後ろで歩く黒い服に固くタイを結んでいる付き人の背の高い男。


「一ついいかしら。」


帰り道、少女が並んで話し出す。


「いかがなされましたか。」

「なんで今日もいつもの今日なの?」


"いつもの今日"。少女はこれをいつも訊ねる。


「そう言われましても……。私には分かりかねます。」


そうよね、少女はそれだけ言うと付き人の隣よりも前に出て歩き出した。

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