双竜紀外伝〜その道の先へ〜

ゆきこのは

この物語の舞台設定


《登場人物》

ノウン族(寧国ねいこく黒州)】

こく瑤瑆ようせい

 ……本名、ソウカ・バガン(柱)。

  騎馬遊牧民“ノウン”の王の一族の末子として生まれる。

  五歳の時、異母兄ハイドゥーム・アルタとその部下バットゥの謀略によって、兄オルフと一緒に故郷を追われ、寧国の他州で少年期を過ごすことに。

  瑤瑆ようせいという名は、学問の師と仰ぎ、教えを受けた紺清風によって名付けられたもの。

  いつもはおとなしい性格だが、時折翳りのある表情を見せる。

  幼いころに母を亡くして以来、心に誓ったことがある。


こく玕璋かんしょう

 ……本名、オルフ・ブルグドゥ(鷲)。

  瑤瑆の五歳年上の同母兄。

  十歳の時、異母兄らの謀略によって瑤瑆と共に故郷を追われる。

  瑤瑆と同じく紺清風に教えを受けた。

  玕璋の名は、これも同じく紺清風によって名付けられたもの。

明るく、人懐っこい性格。

瑤瑆の心の支えになる。


こく玖瑯くろう

 ……本名、アウル・アムグラン(安寧)。

  ノウン族の王である聡明な人物で、瑤瑆の大叔父にあたる人。

  ノウン族としては王、寧国(寧人)の中では諸侯の一人、黒家当主として上手に振る舞い、寧国宮廷でも一目置かれる存在に。

  騎馬民族の王らしく、豪快な人物。


・ハイドゥーム・アルタ(金)

 ……瑤瑆の九歳上の異母兄。

  大叔父であるノウンの王アウル・アムグランの留守中にバットゥの甘言に乗り、共に父をそそのかして継母(瑤瑆と玕璋の生母)を自害に追い込み、ノウン族を乗っ取ろうとする。


・バットゥ

……ノウン族の下に従うヨウ族出身。

瑤瑆と玕璋の生母に懸想し、ハイドゥームを使って手に入れようとする。



【寧国】

こん清風せいふう

 ……紺家直系一族の生まれ。

  高名な学者で、各地を旅しては有能な若者を発掘し、自分の学院に連れて帰っては教育している。

温厚だが、自分にも他人にも厳しい老師。

  ソウカには瑤瑆、オルフには玕璋という名を与えた。


すい玉環ぎょくかん

 ……翠家傍系の家に生まれ。

瑤瑆が旅の途中で出会った翠家の巫女である女性。瑤瑆にとって、忘れられない女性となる。

明るくて優しい性格。

後に、瑤瑆からチョルモン(明けの明星)という名を与えられる。


すい翡宥ひゆう

……翠家傍系の生まれ。

瑤瑆と玕璋が紺清風の学院で出会った男の人。

後に、瑤瑆の兄貴分的存在になる。

実は、玉環の兄。


きん周真しゅうしん

……菫家傍系の生まれ。

惇氐の世話役兼見張り役として、紺清風の学院で瑤瑆らと学ぶ。

惇氐とは、一応従兄弟同士である。

真面目な性格で、よく惇氐と衝突する。

胃の腑が弱い。


こん宵風しょうふう

……紺家直系一族の生まれ。

修行のため、紺家から紺清風の学院に送り込まれる。

紺清風は大叔父。

時には、紺清風のかわりに学院を取り仕切ることも。

穏やかで真面目な性格。


きん惇氐じゅんてい

……菫家傍系の生まれ。

勉強ができないため、菫周真と共に紺清風の学院に入れられる。

豪快な性格で、周真曰く『剣術馬鹿』。



《この物語の基本情報》

寧国ねいこく

 ……亜王アワン大陸と呼ばれる巨大な大陸にある大国。

  北は山脈と高地、南と東は海と平野、西は半砂漠のようになっている。

北西部には遊牧民族が居住するモンゴロド高原、北東部には峻険な天竜テンリュウ山脈などの厳しい山々が連なり、居住は困難。

  人口は、主に南東に広がる大豊タイホウ平野、南西にある江雨コーウン山地、そして大永海タイエイかいと呼ばわれる海を隔てた東方諸島に集中している。 

国主は皇帝。

国号の寧は“此処に安寧の地を築く”と言う、寧国初代皇帝、せい霊安れいあんの言葉による。

皇帝一族のみ、青色の衣を纏うことが許されている。


禁姓十五家きんせいじゅうごけ

 ……寧国に十五ある禁姓の一族のことを指す。

  禁姓とは禁じられた姓名、つまりその一族以外、何人も名乗ることを許されない姓名のことをさす。

  斉皇帝家と禁姓一族筆頭の藍家、紫家、碧家と、その三家にある門家と呼ばれる分家と、“外の一族”と呼ばれる異民族の首長の家である黒・茶・黄の三家で構成される。


ノウン

 ……寧国の北西部のモンゴロド高原に居住する、北方騎馬民族。

  百年ほど前に今の居住地に辿りついた時、一族の王はモンゴロド高原に居住することを認めてもらうことと引き換えに、寧国皇帝に忠誠を誓って諸侯の一人となった。

  その時、ノウンの王の一族は禁姓一族の一つに加わることとなり、寧国皇帝から黒姓を賜る。

  他に、酒造りが得意で元オアシス民の白哉ビャクヤ族、代々宝飾関係の仕事に従事してきたヨウ族を従えている。

なお、ノウンという族名は、彼らが蒼い狼の子孫だとする伝承からきている。


双竜神そうりゅうしんさま

 ……双竜大祖神さま、皇祖神さまとも。

寧人の間で信じられている二柱の大神さま。

寧国の建国神話には、皇祖斉こうそせい霊安れいあんに力を与え、魑魅魍魎を地の下に封じたとされる。

  この二神を信じる宗教的形態を、寧人以外には天竜教と呼ばれている。

  

・オオカミ(狼)

 ………“草原の魂”または“草原の兄弟”とも。

  ノウン族にとって象徴的動物で、神獣に近い。

冬に家畜を狙ったりするが、ノウン族は長年上手に付き合ってきた。

  

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