スター☆ドリーム!!

@waooo

幕が上がる10分前

アイドル。

世の中の女の子は誰もが1度は憧れるものだろう。


キラキラした衣装、魅力させられる素敵なダンス。そしてなによりー、

いつも笑顔を絶やさない可愛い女の子。


しかし、そんなアイドル達ですら憧れるアイドルグループがある。


それが、「スター☆ドリームガールズ」である。


メンバー1人1人が日本中で大活躍し、グループ自体もファンクラブは会員約1千万人にも及ぶ。さらには結成4年目にして既に2回の世界ツアー、そして国際競技場での単独公演を3回も成功させている。


しかしそんなアイドルの頂点に立つ、まさに夢のアイドル達が所属する

「プリンセスプロダクション」社長である見方千代みかた ちよ

「『スター☆ドリームガールズ』は、特別な少女達だけのものではない。

誰もが輝く可能性を持ち、誰もが彼女らのような光り輝くアイドルになれる可能性がある。」


という考えの元、2年前から世界中で「スター☆ドリームガールズ」のメンバー募集を始めるのだ。それが、1年に1度だけ行われる

「スタドリプロジェクト」と呼ばれるものである。


そして世界中から集まった応募の中、厳しい審査をくぐり抜けた50人が、最後の選抜試験である「スターオーディション」に参加することが許される。


「スターオーディション」では、50人全員が廃れた村や町を貸し切って共同生活を送り、社長直々に素質があるか否かを見定められるという。


そうして選ばれるたった一枠「スター☆ドリームガールズ」の新メンバーは、共に生活を送った仲間達に嫉妬されながらも祝福を受け、これから新しい仲間とともにバラ色のアイドル人生を歩んでゆくのだ。


それが、毎年行われてきた「スタドリプロジェクト」である。


今年で、3回目を迎える「スタドリプロジェクト」。今回は6人目のメンバーを募集することになる。


しかし、毎年毎年飽きもせずに同じことを繰り返すことに苛立ちを感じる。


どうして、?


どうしてっておかしいじゃない。


どうしてあれほどキラキラと輝く存在でなければいけない彼女らが、あんなぬるま湯で育てられなければいけないのか。


どうしてたくさんの人に支えられながらも、少しずつしか強くなれない愚図な少女を皆の憧れの象徴にしなければいけないのか。


もっと効率の良いやり方があるはず。


輝く原石を、アイドルを、誰よりもこの目で見てきた私ならー。


「今回のスタドリプロジェクトは、すべて私任せて欲しいの。お願いよ、誰も口出ししないで欲しいの!!」


だってそれが正しい筈なのだから。



  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る