ウォアゲイム《War Game》
ヴェールクト
プロローグ
プロローグ
永い時を経て、世界は平和になった。
だが、戦争は無くならなかった。
無くすことは出来なかった。
人々は戦争という『闘争』の存在を感じなければ、平和というものを実感出来なかったから。
国、金、主義、宗教。
ありとあらゆるモノが人々を争いへと駆り立てる。そもそも人類の歴史というものは闘争の歴史に他ならないのだ。
だから人は争うことを止めることは出来ない。
そして今、世界は二分されている──平和を享受する
ウォアゲイム。
人々に平和を理解させ、そして人々を殺し合わせる為の戦争シュミレータ。地上から戦争を消し去り、そして人々に平和を理解させる為の合理的な
その世界では、かつて戦争に使われたありとあらゆる兵器が再現されている。
そして、そこで死んだ者は──現実世界においても死が与えられる。
そうしなければ人々は戦争の悲惨さを理解しない。平和を理解する為に必要なのは街が燃えることでも国が滅ぶことでもない。
ただ純粋に、人が死ぬという事実なのだ。
その死のゲームに送り込まれる人間は技術も地位も無く、人類に貢献することの無い『ゴミ』と判断された者たち。
その戦場において三年間生き残った者には、平民としての権利が与えられる──たったそれだけの望みを胸に、彼らは戦い続ける。古代ローマのコロッセオで戦うグラディエーターのように。
彼らの戦いを眺める人間は、ディスプレイに表示される戦争をクーラーの聞いた室内でソファーに座り、酒を片手に眺めながら、時に興奮し、時に涙する。
そうしてこう思うのだ。
ああ、本当に平和で良かった、と。
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