閻魔大王は美少女コスプレイヤー?

 「ようこそ♪天界閻魔の間へ、生涯を終えた事、御苦労さま。」


ニコニコしながら明るい表情で部屋に入ってきた美少女、案内人と思わしきが人物に見えた。

龍之介は、「こっちは死んだばかりなのに」と少し複雑な気持ちがあった。

家族と永久とわの別れをしたのだから当然だ。

現世ではすでに龍之介の葬式が終わり遺体は、荼毘に服されていた。


「私が閻魔ちゃんよ☆」


 閻魔様と言うより、その微笑みは天使の表現のほうが合うだろう、

腰まであるロングの黒髪、服は着物に陣羽織みたいなのを羽織っている。

20歳になったかな?くらいの美少女…身長は低め幼くも見える。

しかし、頭には閻魔と書かれた王冠みたいなのを被り手には笏を持っている

まるで美少女コスプレイヤーだ。


「え!あなたが閻魔大王様!本当に?

これはこれは想像と違うものですね、閻魔大王があなたみたいな美少女とは!」


「美少女とは嬉しいですが、龍之介ちゃんも恐い鬼のような形相の髭が

もじゃもじゃした、おっちゃんだと思っていたのでしょ」


 口を尖らせて怒っている美少女は閻魔様に見えない・・・・・・その姿は

やはり、天使に見えてしまう

怒った顔も可愛かった。女として可愛いと言うより、孫が可愛いと言う類での

可愛い。


「閻魔大王って職業のことで、今年からは私がたまたま配属されたのよ!

ちなみに、私は茨城県担当閻魔大王よ。そう言えば栃木県担当閻魔大王は、

髭もじゃのおっちゃんだったはずよ」


 龍之介は柔軟であり若者文化、特に秋葉原文化も孫を通して知っていたのと

それにハマってしまい、平成の剣豪はオタクであった。

この為、死後の世界は二次元世界のごとくか、ライトノベルのごとくかと納得して難なく受け入れたのである。


「あの~質問なんですが、閻魔大王って何人もいるのですか?

それと三途の川とか、お花畑は?」


「あ!やっぱり記憶ないのね、死んだショックで放心状態のうちに渡っちゃうのが殆どなのよ。利根川の渡し船みたいなのに乗って渡ったってここまで来たのよ。

閻魔大王は天界での役職の一つよ、閻魔大王が一人だったら一日どれだけの死者の対応しないとならないのよ。無理に決まっているでしょ、365日24時間死者対応ってブラック企業よりもひどいじゃない。」


「なるほどなるほど、それはそうですよね、納得いたしました。それにいきなり

このような室内だったのも納得です。」


「たまに若者とかが生死を彷徨う時に少し覗いちゃうみたいだけどね、

それが生死から狭間から帰還した者たちが話して噂を流すから、お花畑とかは

みんなが知る存在になっちゃったんだけどね。」


「なるほど・・・・・・私みたいに眠るように死んだ者はいつの間にか、

渡っちゃうんですね。」


「そんな物なのよ、ちなみに三途の川の渡し賃の六文銭なんかは昔の話で、

今はタダよタダ!

みんな平等に渡し船には乗れるけど、たまに泳いで渡る元気な死者もいるのよね!

それに地獄の沙汰も金次第も嘘よ、現世のお金が天界で使えるわけないじゃない、

それにそんなので買収されたら平等に裁かないとならない閻魔大王が不正の温床になるじゃない」


「それは不思議に思っていたんですよ・・・・・・これまた納得しました。」


「納得すると言うか、受け入れるの早いわね龍之介ちゃんは、この場にまで来て

だだをこねる死者もいるのだけど、聞き訳がいい死者は好きよ。」


なんとも、ラフでざっくばらんな閻魔大王。

想像していた閻魔大王のイメージとはかけ離れていた。

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