遥か彼方に心は遠く。

ハイレン・ガーシュエシオン

始まっていく物語

世間には様々な道が幾多にも重なっている。


基本的には公道であるが、私道を進むこともできる。

高速道路のように金を払って他より遠くへ早く進むこともある。

自分の人生を顧みて国道を歩いているのだと思う者は多いはずだ。

中には高速道路を走っていると感じることもあるかも知れない。


しかし終着点は皆同じだ。

天に召され、輪廻転生の輪の中に収まる。


ある教えではそういうことになっている。

誰も見たことのないその先は神のみぞ知る。

裏を返せば人の一生は自らが知ることの出来る所までであり、故に終わりとはつまり死である。


どれだけ尊い道を歩んでこようと、道外れた茂みの獣道を進んでその時を迎えたとしても、最後は絶対的な終わりが一人一人に訪れて終止符を打つ。


ある日、一人の男が気づく。俺だが。


長いか短いかはさておき、辿り着く所が同じなら。

「頑張る必要なくね?」

結論は彼にとって大きな一言だった。


それは彼だからこその重さが宿った一歩。

大きな太陽と澄んだ大空を見上げ、朝の光が照らす窓辺で、少年は選んだ。


それは日常の一瞬。ふと気づいてしまったから。


これは少年が頑張らない日常を歩んでいきたい。

そんなどうでもいいような物語。


彼色に輝く青春の一ページ。

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