第2話

眩しい光がカーテンの隙間をぬけカーテン越しでも天気の良さを感じさせてくれはような朝、


「凛子ー今日入学式でしょ〜ちゃんと起きて準備してる?」


と二階建ての家に優しい声が響いた


「京子、お姉ちゃん起こしてきてー」


「高校生にもなって自分で起きられないの!」


棘のあるような言葉を吐いてドスドスと階段をゆっくりと登って行く


「んんんーー」


もぞもぞと起きる様子を見せるこの少々、まるで成熟したリンゴを思わせる真っ赤に光る赤い髪の美少女、

ドンと音が出そうなドアの開け方で入って来たのはこれも綺麗な真っ赤な髪を後ろに束ねた髪が特徴的な凛子の妹、名は京子である。


「おねーちゃんいい加減に起きてくれない!お母さんに何回も起こしに行ってって言われる私の身にもなってよ」


と顔まで真っ赤にして姉凛子に怒声を浴びせた

その声を聞くや否や枕で頭を隠し、聞く耳持たないと思わせる行動にとうとう妹京子の何かが切れた。


「もぉーーーーー」


京子はものすごい勢いで凛子の布団を剥ぎ、そのままベットから叩き落とした。

ガンという衝撃に耐えられず凛子は「ぎゅ」と間抜けな声をあげた。


「起こしたからね!!」


と真っ赤なりんごの風貌の京子はフンと鼻息を荒くして部屋を出て行った。


「痛い」


顔から落ちたらしく鼻を赤めてそんなことを言っている間に部屋のドアの方から悪寒を感じた凛子はドアの方を見るとドアからチラリと顔を出しこっちを睨む妹京子がいた


凛子はとっさに立ちあがり敬礼した、


「いい朝であります!もう起きて準備するであります!」


と京子がいなくなる事を確認すると力が抜け膝から倒れるように倒れていった、


ゆっくりしているとまた京子が来るかもしれないと思い急いで準備しようと体を起こす


ふぅーとため息を出す凛子は妹と妹に起こすように頼んだ母を少し恨んだ。


そんな事を考えてふとベットの横にあるタンスにかけてある制服に目を向けた。


「はぁー今日から高校生、何か始めないといけないのかな」


と新しい学園生活に心配と不安を抱いて一階に降りて行った。


階段を降りている最中、凛子は鼻で甘い匂いを感知した


「こん匂いはハニーいちごパンだ!」


と階段を駆け降り右に曲がりガラスばりのドアを開け中央の机の上に甘いもの嫌いな人には地獄のような甘々しいパンが置いてあった


「おはよう、今日は凛子の好きなハニーいちごパンよ」


と優しく微笑む母と何を考えてるかわからない無表情な父親と先程の妹京子が座って朝食を食べていた


「わぁーーー私の大好きなハニーいちごパンだ!」


と嬉しい半分驚いていた、普段何かいい事をしたご褒美で作ってもらえる特別メニューだったのだ、


「今日はあなたの入学式でしょそのお祝よ、いっぱいあるからね」


と後ろにはハニーいちごパンが大量に置かれていた、


「お母さんなんで私までこのパンなの?」


とあんまり好きではないのか不服そうに母に問いかけた、すると笑いながらこう言った、


「手軽に作れちゃうから」


と少し赤くなり照れながら京子と父に言った

顔を膨らませて京子が母親に抗議した


「私も進級したんだけど…」


と拗ねるように下を見た京子に対して母は微笑ましい様子に、笑いながら「おめでとう」と京子に言った。


「ありがと」


と照れくさそうに返事をする隣で凛子は無我夢中でハニーいちごパンを平らげていたが、母が放った一言で凛子の幸せな時間が終わりを告げた。


「時間大変よ」


おっとりした母が言うとどんな事も大変には聞こえないと笑いながら母の見る方向を見る凛子の目には時計が写っていた。


「ち…チコクーーーするー入学式で遅刻はダメーー!」


と最後にハニーいちごパンを口に頬張り、急いで二階に上がった初めて着る制服で少しぎこちない手つきだが早めに着替え終えることが出来た。


シャキーンと効果音が出そうな勢いで机の上にあったぐるぐる眼鏡を手に取った。


「高校生になってもそれつけるのね」


京子はさっきとはうってかわって落ち着いた雰囲気で話しかけた。


「私にはこれがないといけないの……もうあんな事嫌だからさ」


と俯きながら話す凛子の表情が痛々しく京子は胸が張り裂けそうな程痛くなった。


「昔アイドルやってた事知られたくないの?」


京子の一言で空気が凍った。

京子はやってしまったと言う顔をしてその後にすぐ言葉をつなげた


「おねーちゃんも本気になれる事見つかるといいね」



と笑いながら部屋を出て行く京子を見てふと机の上を見るそこには昔の凛子の写真が置いてあった。


その写真には中学生ぐらいの女の子が可愛い衣装を着て仲が良さそうに写っているものだった。


「リンリンか」


「もうあんな辛い思いをするのはいや」


と消え入りそうな声で呟いた、まるで何かにすがっていないと壊れてしまいそうな程に弱々しかった。

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