2014 拝啓から敬具までの短くて長い時間
拝啓
お元気ですか?
あれから三年が経とうとしています
ボクにはとても長く感じられました
きっと キミが隣にいなかったからだと思います
楽しいときは時間が経つのが早いのに
辛いときはなかなか経たないものです
キミは どうでしたか?
今でも時々夢を見ているんじゃないかって思うことがあります
ボクはずっと眠ったまま 長い夢を見ているのかもしれないって
もしそうだとしたら すごくうれしいです
目が覚めたら隣にキミがいて そこにはいつもの優しい笑顔があるのですから
でも あれは夢なんかじゃありません
夢としか思えませんが 紛れもない現実です
だって ボクの目の前からキミが消えてしまったのですから
ボクの隣にいるはずのキミがいないのですから
今年もサクラの季節がやって来ます
憶えていますか?
よく二人で歩いたサクラのトンネルのこと
小さな道沿いにサクラの花が何百メートルにもわたって咲いていました
変わり映えしない景色なのに 毎年飽きもせず出掛けましたね
足元に敷きつめられた桃色の
まるでサクラがボクたちを祝福してくれているようでした
今だから言いますが
「バージンロードってこんな感じなのかな?」なんて妄想していました
三年前 ボクの中で時間が止まりました
ただ 毎年サクラの季節がやってくるのは時間が動いている証拠です
サクラの便りが届く頃 決まって同じ光景が脳裏に浮かびます
桃色の
サクラがボクの記憶を呼び起こして 止まった時間を動かしているみたいです
あの頃の二人の笑顔を思い出すのはとても辛いです
でも そんな光景を忘れてしまうのはもっと辛いです
だから ボクは忘れません
ずっとずっと憶えています
忘れなければ 笑顔が
いつかまた笑い合える日が来るのですから
それまで どうかお元気で
敬具
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