紅に染まる女手記
篠宮
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私の名は
月華族の苗字は全員"
しかし、私は苗字を持つことが許されなかった。
なぜ苗字を持つことが許されなかったのか。それは後ほど書く。
まず、
月華族は、約100名からなる種族だ。おばば様から聞いた話によると、我が種族が形成されたのはいつなのか不明。しかし何千年も前から月に最も近いとされるこの山の山奥で村を作り暮らしているという。また、以前書物で読んで知ったのだが、この世界には戦いを好む者が多くそれは月華族も例外ではなかった。種族によって使用する武器は異なるが、月華族は刀の使用を得意とする者が多い。そんな月華族には言い伝えがあった
「月に見染められし赤子、生まれながらにして月華の宝であり災厄なる三日月を背負う」
さて、私が月華の村に生まれたのは13年前。
満月が綺麗な夜だった。その年4人目の赤子ともあり、村の興味が向けられることもなくひっそりと生まれるはず……だった。
母の出産に立ち会ったおばば様はその場で膝から崩れ落ち嘆いたという。
「ああ……再び災厄が訪れてしまった。運命を定められた哀れな娘だ」と。
その話を聞き、母の元を訪れた村長は高らかに笑って叫んだという。
「月華の宝を手にした!! これで周囲の種族を殲滅できるぞ!」と。
生まれながらに私の胸には三日月の赤いあざがあった。
それは言い伝えにある月華の宝、「
その日、私には月紅という名が付けられた。
宝の所有者以外は紅という名を持ってはならない。所有者は月華の宝と同じ名前とする。所有者は苗字を名乗ってはいけない。
それが、月華の掟であった。
月華族の子供は5歳の時、自らの刀を与えられ戦場へとくりだす権利を得る。
月華族は戦いを好む。その本能で月華族の子供は戦闘への欲望を抑えられなくなる。中には5歳まで待つことができず自らの家族を傷つけ、殺すことも少なくない。そんな戦闘部族が月華族だ。私も5歳になると自らの愛刀とともに戦場へと繰り出していた。早くに亡くなった私の両親は、村で1、2の実力者。その血を受け継いでいるらしく村の子供で私に勝つものはいないほど、私は剣術に優れていた。
月紅のことは、知らされてなかった。
それから5年の月日が流れた。
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