底辺投稿者がお勧めする創作関連本/鑑賞の手引き
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リンダ・シガー「ハリウッド・リライティング・バイブル」
リンダ・シガー「ハリウッド・リライティング・バイブル」(田中裕之/訳)についてカクヨムでも創作論で触れられていることに気づく。ハリウッド映画のシナリオ教本だが、リライティング~とあるように元々は脚本のリライト、直しについて書かれた本。改訂され、一般的なシナリオ教本としても利用できるようになったとのこと。
ハリウッド映画の脚本なので、よく知られる三幕構成についても2時間という一つのパッケージの中で如何に巧く組み立てるか触れられているが、肝心なのは登場人物同士の感情の変化、関係性の変化だろう。映画「アフリカの女王」を題材にして詳細に述べられている。
「アフリカの女王」はアフリカの女王号というオンボロ船で一組の男女が川を下ってドイツの戦艦に立ち向かう物語である。川を下るにつれて二人の関係性が変化していく、具体的には初めは無関係だった二人がより親密になっていく様が見事で、まさに教材としてうってつけ。
「ハリウッド・リライティング・バイブル」を読む前にまず映画「アフリカの女王」「トゥッツイー」「刑事ジョン・ブック/目撃者」を観ることをお勧めする。この三本さえ観ていれば理解が容易になるように書かれている。
「トゥッツイー」は実力はあるが性格に難ありな男優が女装してオーディションを受けたところ合格、人気者となるが……という内容。刑事ジョン・ブックはアメリカのアーミッシュを舞台に殺人事件を捜査中、大怪我を負った刑事がアーミッシュの閉鎖的な社会に逃れて……という内容。
「アフリカの女王」は登場人物の感情の変化/関係性の変化についての教材、「トゥッツイー」はサブプロットがメインプロットと上手くかみ合った好例として、「刑事ジョン・ブック/目撃者」は著者が実際に脚本のリライトを手掛けた実例として取り上げられている。
要するに、これら三作の映画を観れば、「ハリウッド・リライティング・バイブル」が何を言わんとしているかすんなり理解できる様になるのである。シナリオ教本では多数の映画を事例として挙げている本もあるが、それだと大量の映画を補足で観なければならず、必ずしも読者に優しくないのである。これらはいずれも名作とされている作品であるので、探し出すのは左程困難ではない。「アフリカの女王」はワンコインで観られる。
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