第28話本番
楽屋に入ると、先生が一人、椅子に座っていました。
桜に話しかけます。
「あのさ、桜ちゃん。桜ちゃんに使う時間は、オレにとってしんどいの。オレの劇団には桜ちゃんは絶対入れない」
わかっていること、と、桜は思いました。
「勿論、桜ちゃんがオレの恋人だったらどんな話でも時間をかけて聞くよ。でもそうじゃないもん」
振られてしまいました。
でも、こんな本番寸前に言うなんて。
桜は舞台に立ちました。憧れていた舞台です。けれど、そこで見たのは希望ではなく絶望でした。
拍手される瞬間だけ、妙に高揚していたのを、桜は覚えています。
仲間が一列にならんで、拍手を受けるのは、例え絶望の時でさえ、桜を酔わす魔法の力を持っていました。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます