第2話桜

 この世の春に桜は生まれました。


 私は、桜。枯れ枝に積もる雪が桜のようだから。


 それはさておき、桜は両親の期待を受けて生まれました。両親にとって始めての子供。祖父母にとっても始めての孫です。


 はじめまして、赤ちゃん。


 はじめまして、桜。


 ああ、嬉しい。


 喜びの思いが、桜が始めて接した、人の心であったはずなのです。

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