チート魔王の異世界召喚
氏神様
第1話 魔王様です
俺は今、真っ暗な部屋にいる。
本当に真っ暗で何も見えない。
一寸先は物理的に闇。
新手の嫌がらせかよ、全く。
そんなことを考えながら、俺はとりあえず周りを見渡してみる。
ほんとに真っ暗。何も見えねえ。
あ、遠くの方に光が見えた。
淡い青のような色をした光だ。
俺はとりあえずその光に向かって歩く。
かなり距離あるな。
まあとりあえず行くしかないか。
光のところまで行くと、男が一人、玉座のような椅子に座っていた。
こんなところで誰に対する権力を示すってんだよ。
しっかりと男を見てみる。
大神官が来ているようなローブに見を包んでいる。
見た目は、おっさんの中のおっさん的なおっさんだ。
しかし、魔力量が高い。
半端ないぐらい高い。
少し気になるな…。
まあ、話しかけるしかないか。結構良いやつかもしんねーし。
「おい」
すると男はこちらを振り向き…
「よく来たな、下賤のものよ。
ここに来れたことをありがたく思うが良いぞ」
うん、うざいな。殺そう。
俺はとりあえず、男を指差し………
魔力をためて、光線を撃った。
「がは!な、何をする!」
すると、なんと男はその光線を避けた。
音速の50倍程の速さを誇る光線を、だ。
まあ、玉座は跡形もなく消し飛んだが。
「お前何者だ?」
「我は、五大神の一角、ゲリブである。
あの程度の光線、我にかかれグハァ!?何をするのだ貴様ぁぁぁ‼」
「うざいからもう一発撃った。」
「この!どうやら痛い目を見たいようだな!」
「やれるもんならやってみろ駄神様。」
「ようし、目にものを見せてやるわ!!!」
神様のセリフじゃねえ。
あ、こっちに向かってきやがった。
*
結果、一分持たずに相手がバテた。
え、雑魚…。神様って言うからてっきり結構強いもんかと思ったんだが…。
まあ、天変地異レベルの戦いだったのだが。
しかし、俺がこんなに強いのは何故か。
それは二つのユニークスキル、【吸収】と【世界の
スキルとは、技術や技などの総称であり、ユニークスキルとは、そのものしか持たない唯一無二のスキルである。
ざっと説明すると、【吸収】は、相手の能力、スキル、経験を吸収することができ、体内に貯蔵することもできる。
【世界の記録書】は、半端ない情報の保存、解析、処理、管理ができる。
うんうん、我ながらチートだな。
まあ、それを差し引いても駄神の強さはどうかと思うがな。
神だろ?一応。
俺はとりあえずそういう意味をこめて言う。
「お前雑魚いな」
「黙れ‼貴様が強すぎるのだ!
これでも我は神の中で一番強いのだぞ!」
「つまり、神は雑魚いのか」
「だから、貴様が強すぎるのだと言っておるであろう」
「ああ、つまり神は…」
「黙れぇぇぇぇぇ!
はぁ、はぁ。ふぅ、そんなお前の強さを見込んで頼みがあるのだが…」
「断る」
「話ぐらい聞け!」
だってめんどくさいだろ。絶対。
「はあ…。頼みと言うのはだな…」
あ、こっちのこと無視して話してきやがった。
「お前に世界を救ってほしいのだ。
世界というのはお前の住んでいる世界ではない、異世界のことだが」
異世界ねぇ。興味はあるが。
まあとりあえず…
「断る」
「なぜだ!われの頼みだぞ!」
「うるせえよ。話聞いてやったろ。」
「いや、異世界だぞ!?
面白そうだとは思わんのか?」
まあ、たしかに面白そうだと思う。
が、まあ一つ理由があったりする。
「つーかお前、俺、魔王だぞ?」
そう、俺は魔王なのである。
ただし、世界征服だとかそういういものをしようとしていたわけではない。
むしろ、魔物と人間とを仲良くさせ、共存していこうと頑張っていた。
第一、魔王になろうとしてなったわけではなく、冒険していたら、なんか色々ついてきて、いつの間にか魔王になっていた。
俺も、魔王になったからには魔界を変えようと、それなりの努力をした。
そんな、超、良い魔王だった俺だが、それでも魔王は魔王だ。
「魔王に世界を救えっていうのかよ。」
「そんなもの関係ない。
むこうに行ったらそんなもの無くなるのだからな」
まあ、確かに。
それに、最近なんか魔王やってるのもだるくなったしなぁ。
ここで乗るのも一興か。
「よし行こう」
「おお、行ってくれるのか。ありがたい!」
俺が言うと、駄神がとても嬉しそうな顔で言ってきた。
…正直キモい。
「ならば今すぐ行くか?」
「あ、その前にその世界の情報とか常識とか教えてくれ。
それがないとどうにもならねーだろ」
情報は本当に大事である。
浮いた存在にならないようにも、しっかりと知っておくべきだ。
一度聞けば【世界の記録書】で一語一句違わず覚えることができる。
本当に便利だ。
「そうだな、確かに情報は必要だ。
よし、ではしっかりと聞くのだぞ」
こういうおっさんの話って長くなるよな。
「えー…、まずその世界の名前は『コズモス』。
いま、魔王の手により崩壊の危機に瀕しておる。」
魔王対魔王ってけっこうシュールだよな。
神でも倒せないってことはそこそこの強さなのだろうか。
「お金の単位は『カラー』で、ギルドがあったりするな。
ランクが下から、F、E、D、C、B、A、S、SS、SSSがあり、それぞれに『準』と普通と『特』がある。
例えば、B級なら、下から『準B級』『B級』『特B級』となるな。魔物の区分も同じじゃな。
あと、その世界もスキルやユニークスキルの概念がちゃんとあるぞ。
あとは…」
その後も長々と話が続いた。
*
疲れた。
二時間話し続けるとか、よっぽど喋りたかったんだな。
「よし、では行くか?」
あんなに喋ってもまだ元気な駄神。ムカつく。
「あぁ、早くしてくれ」
さっさとこいつとおさらばしたい。
「よし、ではいくぞ!」
そう言うと、駄神は呪文のようなものを唱え始めた。
そして、二十秒ほどの詠唱をし、再び駄神がこっちを向いてきた。
「健闘を祈る」
駄神が心配そうな目で言ってくる。
とりあえず、その目はキモいので、安心させるために言っておく。
「誰に向かって言っているんだ。
俺は最強の魔王だぞ」
「そうであったな…。
では、さらばだ、魔王サタナス・パラクセノ」
「ああ、じゃあな」
瞬間、俺の周りが光り始める。
凄い魔力量だな。腐っても神ということか。
視界が白くなっていく。
とてつもなく眩しくて、目を閉じずにはいられない。
目を開けると、俺は草原に立っていた。
「異世界…か」
気持ちが高まる。
心の底からなにかが溢れてくる。
俺の冒険が今始まる!
チート魔王の異世界召喚 氏神様 @____-
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