第九章 はじめてのダンジョン
第1話 新たな修業……?
毎日毎日、僕は走っていた。タマモさんの言う通りにして、剣の素振りを続けていた。
そして毎日毎日、セエレさんとタマモさんにいじめられていた。僕は身も心もボロボロになっていた。
でも、なんだか少しずつ体力がついてきた感じがする。走れる距離が長くなっていることに、僕は気付いた。剣もずいぶん楽に振れるようになってきた。
ひょうたんに入ったお酒を飲みながら、にゃははといつもふやけた笑いを浮かべているタマモさんだけれど、見るべきところはちゃんと見てくれているようだった。さすがは世界に3人しかいない剣聖さまだ。色々と怖いことも辛いことも多いけれど、タマモさんの教えをこなしていれば強くなれる。僕はそう思った。
「それで、あの……! この格好なんですけどっ! 何か意味があるんですか!?」
僕は今日こそ抗議することにした。
タマモさんの言う通りにしていれば強くなれるとは思っているけれど、どうしてもこれだけは納得できない。
足がすーすーするし、いつもパンツが見えそうなことを気にしなきゃいけないし、何よりも恥ずかしい!
そう、僕はなぜか女装させられているのだ。
短いスカート? というものだけじゃなく、なんと女性用の下着まではかされてしまっているのだ。
「うむ。それにはな……ふかいふかーい理由があるのじゃよ!」
「え?」
タマモさんは真剣なまなざしで僕を見た。
そう……か。そうだよね。何の考えもなしに、僕にこんな格好をさせるわけがない。なんたってタマモさんは剣聖さまなんだ。きっと僕の考えも及ばない、すごい修業に違いないんだ。
「その理由とはな……」
「は、はい」
僕は息を呑む。
「クレスよ、おぬしがかわいすぎるからじゃ! にょほほほー!」
あうあうあうあう。
僕はがっくりと肩を落とした。
先がものすごく不安になってきた。やっぱりレオンさんについて行った方がよかった……。
「それはさておき。そろそろ次の段階に進むとしようかの」
「次の段階、ですか?」
「うむ。“だんぢょん”に挑戦してもらう!」
「だ、だんぢょん……!」
だんぢょんって何だろう。
よくわからないけれど、新しい修業みたいだ。どんな修業なんだろう。
強くなるためなら、どんな苦難だって乗り越えてみせる! でも!
「その、だんぢょんに挑戦する前に、この格好はもうやめていいでしょうか」
「だめじゃ!」
「でも」
「だめじゃ!」
全力で却下されてしまった。
うぅ……これも試練だと思って頑張ろう……うん、頑張ろう……。
つらいよー!
助けてー! レオンさーーん!!!
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