そ ら へ

 いつだって自由だった。


 いつだってこの空を羽ばたけた。どこへだって行けた。


 太陽の光をいっぱいに浴びて飛ぶのが好きだった。時には雨に打たれたり、風にあおられたりもしたけれど、空が大好きだった。


 それなのに。


 あの空は遠くにいってしまった。


 もう、届かない。


 二度と……届かない。




 でも、あたしは飛べる。


 どこへだって飛べる。


 だってあたしには歌がある。一緒にいてくれる大事な人がいる。

 だから、どこへだって行ける。何も怖くない。辛いことも乗り越えていける。


 あたしは新しい翼で羽ばたくんだ。高く、高く、誰よりも高く。




 ――あの空へ。

 

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