雑貨屋『サイゼリ屋』でのおっぱい事件

ここは剣と魔法の世界、とある小さな村に1軒の雑貨屋が在った。

名前を『サイゼリ屋』と言い少し離れた町からも冒険者と呼ばれる者達が買い物に来る店である。

その理由が・・・


「アルス、これ・・・今日の分・・・」

「アイリスさんありがとうございます。早速店に陳列しますね」


長く黒い髪はボサボサで猫背なせいもあって顔が全然見えないアイリスと呼ばれる女性、彼女は錬金術師であった。

そして、アイリスから瓶に入ったポーションを受け取るのはサイゼリ屋の店長の息子であるアルスである。

僅か11歳と言う若さであるが父と共にこのサイゼリ屋を経営するアルスは今日も元気良く幼さの残る笑顔をアイリスに向ける。


「うん、なにかあった声掛けてね」

「ありがとうございます」


このサイゼリ屋に居候と言う形で錬金術師が常駐している事で町でも手に入らない回復薬等が手に入るのである。

アイリスは実は結構腕が良いのだが人付き合いが苦手な上に見た目がアレなので町では嫌われていた。

その彼女に他の人と同じ様に接したアルスにアイリスは一目惚れし自ら住み込みで働かせて欲しいと言い出したのである。

その結果、小さな村にも拘らずこのサイゼリ屋だけは町並みに賑わう店となっていた。

これはこのサイゼリ屋で起こったとある一日の出来事である。






「ジャーヤ、すまねぇな・・・」

「気にするなって、それより計画は頭に入っているんだよね?」

「あぁ、大丈夫だ」


村に向かう二人の人影が在った。

基本冒険者は朝か夕方にサイゼリ屋に訪れるので昼間のこの時間はいつも人が少ない事は有名であった。


「しっかり金を奪えたら別の町に移動して私を買うんだろ?」

「あぁ、やっとお前を・・・ゴクリ」


ビキニアーマーを装着したジャーヤと呼ばれた紫髪の女はその豊満な胸を両腕で腕を組んで乗せて見せ付ける。

もう1人の男、ガスパーは見た目通りの冒険者である。

だが先日依頼を失敗し違約金を支払った事で貯金が大きく減ってしまった。

2人はパーティを組んで冒険者をやっており前々から約束していた事があった。

それがジャーヤは自らを売っておりそれをガスパーが予約する形でパーティを組んでいたのだ。

しかし、貯金が大きく減った事でジャーヤに相談した結果・・・


『ならさ、強盗して金を持って別の町に逃げようじゃないか』


そうしてジャーヤが提案したのが小さな村に在るサイゼリ屋を襲うと言う計画であった。

朝と夕方は込むが昼間は非常に人が少ない上に昼間は店長が町に出張販売に出掛けているのである。

なので店には息子のアルス1人しか居ないと言うのが人々の認識であった。

錬金術師のアイリスが引き篭もりという事もあり誰もその存在を知らなかったのだ。


「あぁ・・・金を手に入れたらようやくそのおっぱいを・・・」

「ふふふっ・・・今夜は寝かせないよ」

「うぉおおおお!俺頑張るぞー!!!」


そう言って早歩きでサイゼリ屋に向かっていくガスパー。

その後姿を見ながらジャーヤは小さく呟く。


「馬鹿な男、アンタなんかに抱かれる訳無いじゃない、強盗犯として金を受け取ってから殺して警備に突き出してやるわ・・・」







キィイイ・・・

木製のドアが開く音が聞こえアルスが元気良く挨拶をする。


「いらっしゃいませ」


薄暗い店内に入ったガスパーはチラチラと店内に他の客が居無い事を確認し笑みを浮かべる。

彼の頭の中は既にジャーヤとの今夜の事で一杯であった。

そう、おっぱいがいっぱいなのである!


「なにかお探しですか?」

「あぁ・・・」


そう言ってカウンターの前にまで移動するガスパー。

そこで杖を収納から取り出してアルスに杖の先端に付いたオーブを向ける。

魔法の杖、それは先端に取り付けられたオーブに魔法が込められておりオーブの大きさが込められる魔法の強さをそのまま示している。

即ち、オーブが大きいほど強力な魔法が込められるのだ。


「店長はいるか?」

「すみません、父は夕方まで戻りませんので・・・杖の修理ですか?」

「いや・・・」


父の不在も確認したガスパーは勝ったと下衆な顔を浮かべてアルスに向かって言い放った!

そう、朝の売り上げを全て根こそぎ奪い取って逃げる!

それでジャーヤのおっぱいが!おっぱいが!おっぱいが!!!


「黙れ小僧!いいから黙っておっぱいを出せ!!!!」


ガスパー、初めての強盗で緊張していたのとこの後のおっぱいで頭がいっぱいで『金』と『おっぱい』を言い間違えたのだ!


「えっ???」


キョトンとしたアルスは内心バクバクしながら聞き返す。

もしかしたら何か聞き間違えたのではないかと考えたのだ。

だが・・・


「えっ?じゃないんだよ!分かるだろ!おっぱいだよ!おっぱいをさっさと出せ!!」


握り締めた手に力が入り杖の先端がアルスの顔近くに寄せられる。

その表情は真剣そのもの、だからこそアルスは恐怖を感じた。

目の前の男が一体何を言っているのか理解してしまったから・・・

即ち・・・


「こ・・・ここでですか?」

「他に何処が在るっていうんだ?いいからさっさと出せ!じゃないとお前酷い目に遭う事になるぞ!」


アルスは恐怖に震えながらも目の前の男の大声なら奥に居るアイリスに聞こえている筈だと考え今は言う事を聞くことにした。

震える手でゆっくりと自らのシャツの先端を指で摘んでゆっくりと捲っていく・・・

そして、右の乳首が見えるところまで持ち上げて震える声で尋ねた。


「こ・・・これで・・・いいですか?」

「は?」


ガスパーは困惑した。

金を要求したのに何故か目の前の少年は服を捲って胸を見せだしたのだ。

一体何をしているのか理解が出来ないガスパーであったが直ぐに思い当たる節があった。

ここは雑貨屋である。

であれば何か護身用の物を身に着けているかもしれないのだ。

服を捲ると言うことはそれは首から下げているペンダントなのかもしれない。

そう考えたガスパーは大声で怒鳴りだした!


「おい!それ以上動くな!いいからじっとしていろ!!!」

「ひっ?!」


アルスは怒鳴り声に硬直し服を捲って胸を出した状態で止まった。

そのアルスの捲くられた服の中にペンダントが装備されているか確認する為にガスパーは腰を曲げてアルスの服の中を覗きこむ。

ただでさえ薄暗い店内、ガスパーが行なっている行動を見ているもう一つの目が在った。


(なに?一体何が起こってるの?)


突然聞こえた怒鳴り声、その言葉が「おっぱいをさっさと出せ!」だった事からアイリスは恐る恐る店内を覗いたのだ。

するとそこにはアルスが自ら服を捲っておりその服の中を覗きこむ男の姿が・・・


「なに・・・この胸の高鳴りは・・・」


アイリスは目の前の光景、即ち男の服の中をジロジロと覗き込む男の姿に妙な興奮を覚えていた。

その為、この後の成り行きが気になりアルスを助けに飛び出すのを躊躇していたのだ。


「ちっ脅しか?ペンダントはなさそうだが・・・オイ!怪しい動きをするなよ!さっさとおっぱいを出せ!」

「えっ?」


既に服を捲って右の乳首が見えるようにしているのに目の前の男は更に胸を出せと言っているのだ。

それはつまり・・・


「こ・・・これでいいですか?」


左の乳首も見えるように両手で服を捲ったのだ。

顔を横に反らして羞恥心で耳まで真っ赤になりながら目を瞑った。


(なんで?なんで何も言わないの?もしかして今じっくりと僕のおっぱいは見られているの?)


泣き出しそうになっているアルスの目の前でガスパーは思考が完全に停止していた。

一体こいつは何をやっているのか理解が出来なかったのだ。

しっかりと胸を出してこちらに向けるアルスの姿を見て固まっていた。

胸元にペンダントらしき物は無くその行為に一体どんな意味があるのか理解が出来なかったのだ。

そして、辿り着いたのが・・・


「お前・・・まさか・・・お前・・・舐めてんのか?」

「えっ?!」


アルスは目を開いてガスパーの目を見返した。

それも仕方ないだろう、アルスは1人エッチを最近覚えたのだが・・・

自分の胸が性感帯だと先日気付いてからそこばかり刺激する1人エッチを行なっていたのだ。

舐めるのは舌が届かないので無理だが挑戦した事は勿論あった。

だからこそガスパーの言葉に驚きを隠せなかったのだ。

そして・・・


(なにっ?!なんなの!?舐めてぇのか?えっ?まさかアルスって男が好きなの?えっ?)


アルスの背後から覗いているアイリスからはガスパーがアルスに杖を向けているのが見えていなかった。

その為、この後の会話も完全に誤解して伝わってしまうことになった。


「いい度胸だ。おい!これを良く見ろよ!どう思うよ?」


そう言ってガスパーはアルスの顔に杖の先端を近づける。

ソレを見てアルスは震えながら答える。


「凄く・・・大きいです・・・」

「だろ?お前あれだぞ?俺にこれ使わせたら直ぐに灰になるぞ?」

「ひっひぃ・・・」


アルスの背中越しに見る男が何か少し動いた後に言い放った言葉をアイリスは完全に聞き間違っていた。

即ち・・・

ガスパーが自分のアレを見せてアルスに向かって。


『いい度胸だ。おい!これを良く見ろよ!どう思うよ?』

『凄く・・・大きいです・・・』

『だろ?お前アレだぞ?俺にこれ使わせたら直ぐにハイになるぞ?』

(ハイになっちゃうの?!えっ何処に使うの?!えっ?本気?えっ?なに?えっ?凄い・・・それしゅごい!!!)


じゅるりと涎が出そうになるのを必死に抑えて脳内が腐り始めたアイリスは気付かない内に鼻血を垂らしていた。


「分かったらさっさとおっぱいを出・・・あれ?」


そこまで言ってガスパーは気付いた。いや、気付いてしまった。

先程から自分が言い続けていた言葉が金ではなくおっぱいを要求していたという事。

その為、アルスが自らのおっぱいを見せていた事。

我に返ったガスパーは目の前で涙を流し震えながらおっぱいを丸出しにする少年の目を見た。


「うぁ・・・いや・・・俺は・・・俺は・・・うわぁああああああ!!!」


そう言い残してガスパーは一目散に店を飛び出すように駆け出した。

後に残された服を捲くったままのアルスは唖然としていたがポタポタっという音に気付いて振り返った。


「えっ?ってアイリスさん?!」

「あはぁ~アルスも大人なんだねぇ~」


鼻血を流しながら嬉しそうにこっちを見るアイリスにアルスは駆け寄り鼻血を拭き取ってやる。

その鼻血を見てアルスは勘違いした。


アイリスはアルスをあの男から助ける為に何かと戦っていたのだと。

その戦闘の結果顔面に何か攻撃を受けて鼻血を流してしまったのだと。

そして、その戦闘の結果勝利したからアイリスが何かをやってくれてガスパーは店から逃げて出て行ったのだと。


「アイリスさん・・・本当にありがとうございます」

「いえいえ、こちらこそ良い物を見せてもらいました~」


興奮し嬉しそうな滅多に見れないアイリスの様子に、自分が無事だった事を喜んでくれていると勘違いしたアルスは非常に喜んだ。

夕方になって帰ってきた父親に凄腕の強盗が襲ってきたがアイリスが怪我を負いながらも追い返したと伝えアイリスの株が上がったのは言うまでも無いだろう。







「お疲れさん、じゃあ死んでくれ!」

「へっ?うぁあああああ」


そう言って駆けて来たガスパーに手にしたナイフで襲い掛かるジャーヤ。

その行動に最初から裏切るつもりだったのだと理解したガスパーは数箇所切られながらもジャーヤを取り押さえた。


「くそっ!離せ!この人殺し!」

「くそっお前最初からそのつもりで・・・俺はお前のおっぱいの為に・・・くそっ・・・くそぉおおおお!!!」


ガスパーは叫びながらジャーヤのビキニアーマーに噛み付いて歯で引きちぎった!

すると、ブラの下に巧妙に仕込まれたパットがポロリと地面へ転がった。


「へっ?」

「あっ・・・」


ガスパーはずっと騙されていたのだ。

ジャーヤの胸は実は非常に小さくぺちゃぱいだったのだ。

その事実を知って固まったガスパーの隙を突いてジャーヤは胸を腕で隠しながら走り去る。

その後姿にガスパーは血の涙を流しながら叫ぶのであった。


「おっぱいをだせーーー!!!!!!」







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