ファンタジー系短編集
昆布 海胆
魔王を倒して来いと言われて家を追い出されたが山田君から借りたエロ本がベットの下だ
太陽が窓から差込み母親が僕の事を起こす。
今日は僕の13歳の誕生日、王様に今日会いに来るように言われていたのだった。
「起きなさい勇者」
母親がドアの向こうから声を掛けてくる。
僕の名前は『篠崎 勇者』これで「しのざき まの」と読ませるとは両親のネーミングセンスを疑う思春期真っ只中の少年だ。
同級生にはイニシャルがSMだと良く馬鹿にされたがイニシャルならMSだからモビルスーツだと言い返したらオタクと言われて馬鹿にされた経験を持つ。
さて、言われた通りいつもの学生服ではなく用意された冒険者風の服装に着替えて部屋を出た。
両親はちょっと変わり者で有名だが僕にとっては掛け替えのない両親なので他人の眼なんてどうでもいい。
「母さんおはよう、朝飯は?」
「何言ってるの?もう午前8時過ぎよ、王様を待たせるわけにはいかないからそのまま行きなさい」
「は~い」
愚痴っても仕方ないのでそのまま王様の待つお城へと向かった勇者。
「ををっ来たか勇者よ」
「王様、僕みたいな少年に一体なんの御用でしょうか?」
「うむ、実はな。この世界を滅ぼそうとする魔王が蘇ったのじゃ!」
「えっ?だから?」
「それでお前に倒しに言って欲しいのじゃ」
「はぁ?」
「これは餞別じゃ、装備でも整えてさっさと行くのじゃ!」
そう言って300円渡された。
「いやいや、王様これじゃカッターナイフくらいしか買えな・・・」
「連れて行け」
「ちょっとおまっ・・・」
そう言って城を追い出されて町の中を歩いていると・・・
「勇者、遂に旅立つのですね!」
同級生の『許婚』ちゃんが話しかけてきた。
彼女は『許婚』と書いて『ひめ』と読む。
「これは餞別です。勇者ならきっとやれると信じています!」
何故か10円渡されそのまま走り去った。
一体何が起こってるんだ?
とりあえず意味が分からないので一度家に帰ると・・・
「勇者、私は心を鬼にして貴方を旅立たせねばなりません」
とか母親が言い出して家に入れてくれない・・・
結局近所の『大総』という全商品が108円のお店でカッターナイフを武器に2つ購入した。
税金があるので310円じゃ2つしか買えなかったがこれでなんとか戦うしかないか・・・
そう考え武器を揃え終ったら。
「それでは勇者さま参りましょう」
何故か店の外には戦士と僧侶と魔法使いが待っていた。
そして、そのまま連行されて旅に出た勇者。
途中ダンジョンを攻略し町を救い長い長い3日の旅の果てに遂に魔王城まで辿り着いた!
「くくくく来たか勇者!」
何故か魔王が入り口まで出迎えに来てくれてそこに立っていた。
「ってお前山田じゃねぇーか!」
「そうだ勇者!俺はお前に貸したエロ本が戻ってこないから魔王になって世界制服を始めたのだ!」
「あっ!」
勇者は思い出した。
半年ほど前に竹薮で拾ったエロ本を山田君よりも先に読みたいからと借りたのだ。
そして、そのエロ本はベットの下に隠してすっかり忘れていた。
勿論まだ自分も読んでない。
「なんてことだ。すべてはあのエロ本が元凶だったのか・・・」
「そうだ、あの『世界パンティー大全ムラムラカッターシャツから透けるパンツは最高天国』のせいだ!」
「やるしかないのか・・・」
「俺はお前を許さないからな!」
そして、勇者は買ったきり使ってなかったカッターナイフを両手に装備した。
山田は素手で両手を広げて威嚇をしてくる・・・
「くっなんて魔力だ!勇者ここは任せた!」
「恐ろしい気配・・・こいつはさすが魔王だぜ」
「負けるな勇者!」
戦士と僧侶と魔法使いは俺たちの戦いを見守るつもりのようだ!
こうなったらやってやるよぉおおおおおおお!!!!
「やーまーだー!!!」
「しーのーざーきー!!!」
二人の体がぶつかり合い世界は光で包まれた・・・
「まの~朝よ~起きなさ・・・」
「んぁ?朝か?」
眠たい目を擦って起きた僕は母親が凄い顔をしてこっちを見ているのに気が付いた。
そして自分も思い出す。
昨夜、拾ったエロ本を夜中に観覧しながらそのまま寝てしまったのを・・・全裸で。
「まの、お母さんね・・・こういうプレイはまだ早いと思うの、だからこれは没収するね・・・」
そう言って母親は『世界耳たぶレロレロ天獄』と言うエロ本を回収していった。
だがしかし、ベットの下には山田君から借りた『世界パンティー大全ムラムラカッターシャツから透けるパンツは最高天国』が隠してあるのだ!
それを思い出しまだ大丈夫と起き上がったら机の上に『世界パンティー大全ムラムラカッターシャツから透けるパンツは最高天国』が置かれているのに気が付いた・・・
間違いない・・・パパの仕業だ・・・
今日も変わらない日常が始まる。
篠崎と山田は竹薮にエロ本を探しに行くだろう。
少年の冒険はいつの時代もエロマンに満ち溢れているのだから・・
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