幕間:01
「今、私の事見たでしょ」
お決まりになった台詞を吐いて、彼女は客に一瞥をくれてやった。
「チィ。トイレから出てきて目が遭っただけだろ」
客は言って、古びたモッズコートのポケットから硬貨を数枚投げた。
一つ残らず彼女はキャッチして、カウンター席へ戻っていく客から目を逸らす。
今まで沢山の土地を訪れていたが、自分の事を見るなり、突然金を差し出してくる街は此処が初めてだった。
それをいいことに、都合良く金を巻き上げる術を手に入れ、あろう事か変な店のマスターにも拾われた。
『街で五本の指に入るクソ女』なんて、蔑称までおまけに付いてきてしまったが、それが自分なのだ、と一人納得していた。
私はクソ女。
今日も
それだけ考えて、生きていよう。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます