第15話 別れを告げたくない

バーにいるときに夜に電話して

いつ話す?って聞く

エンくんはいつにすっかって言う。

今から行っていい?と問う

了承を得てエンくんの家に訪問する。二度目の訪問だった。


エンくんは引っ越しの準備を始めていて

それが無性に悲しくて

本当にいなくなってしまうのだと実感し、涙を堪える。


このままグレーにしておけば、エンくんの口から別れの言葉は出なかったかもしれない。

それでもエンくんの気持ちが楽になるなら離れないといけない、否、私自身が楽になりたかっただけなのかも


話を持ち掛ける


エンくんの口から出る

最近気持ちがぶつかることが増えてきた。恋人としてはもう無理

って言葉が胸を突く。

覚悟はしていたけれど、、、、


しばらくの沈黙のあと、かなえも口を開く


「エンくんは恋人としては40点だけど私は一緒にいたいと思っていたよ。」


精一杯の、強がり。

こんなやりとりを何度か続ける。

引っ越しの準備をしながらも対応してくれるエンくん


かなえはずるい女だと思う。


離れたほうがいいってわかっていて円くんの家にきてるのに

別れましょう

とは決して言わなかった。

エンくんは優しい人だから、私から告げないといけないとわかっていながらも。



最後になるなら、せめていい思い出にしたい

恋人のようにイチャイチャして終わらせたかった。幸せで終わらせたかったとても大事な人。

最終的にはかなえのわがままでまたうんざりさせてしまうのだけれど

そうしたら、

エンくんがいなくなったときにエンくんと付き合っていたよ。

本当に最後まで素敵な人だった。この先もずっと好きでいると思う

そういろんな人に話せると思っていたの。

もう会えなくなるんだよって言ったら

もしかしたらエンくんが考えを改めてくれるかもしれないと期待した浅はかな自分も確かにそこにいた。

だから何度ももう会えなくなるねって

お店に行くのもやめるねって強がった。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る