第35話 新城カツヤ


「カツヤくん今日も一緒に帰ろ」


「よし、帰るか」


下校時はいつも西沢と一緒だ。二人でいつも通り下校時し、いつも朝は西沢の家まで行って二人で下校する。まあ、あれだ。はたから見れば羨ましいシチュエーションというわけだが、実際のところ俺たちの関係は至ってシンプル。普通の関係だ。俺はそんな普通の日々が好きだった。


「ねぇカツヤくん、何で断ったの?沖田くんのお誘い。せっかくだから出たらいいのに。私なんて女の子だからって理由で参加できなかったんだよ。もう、いっそ男の子だったらよかったのに」


「ちょっと待て登下校一緒にする男同士はさすがに危ないと思うぞ…」


「そうかなー普通じゃない?」


「そ、そうか…」


「ってそうじゃなくてせっかくだから出たらいいじゃん。ショップ大会に」


「勝てる気がしないんだよ。昔は確かに俺は周りよりも強い方で自信があった。だが一度だけショップ大会に出たことがあってさ。俺はそこでぼろ負けしたんだ。周りにも笑われるくらいにな。だから普通に楽しむ程度にやればいいんだってさ」



「いいじゃん、負けたって。確かに笑う人はいるかもしれないけど、私はそれでも頑張ってるカツヤくんが好きだよ」


そうか、そんなものなんだろうか。ショップ大会に出るやつはみんな強いに決まってる。そう思ってた。だが西沢に励まされて分かったんだ。失敗することより挑戦することの方が大切だってことを。


「あのさ、、、俺出てみることにするよ。そのショップ大会に」


「本当に!?やったー。これで沖田くんと伊吹くんが喜んでくれるね」


「ああ。その前に一ついいか?」


「何?」


「明日俺と・・・」


「え、 ダメだよ。私たちまだ中学生だから大人の階段登っちゃダメだよ!」


「違うってバカ!俺と一戦して欲しいんだ。そうワールドクリエイトで」








  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る