浪人生が異世界の大学に進学する話
チャッピーマン
第1話
みんな〜!みんなはエリートだったことってあるかな?無い!そうかい。有る!そうかい。
まあどっちでもいいけど、俺はあった。かつてエリートと呼ばれる類の人間だったんだよ……大学受験で失敗するまではな。
俺は中学受験であの名門T大学の合格者数全国1位2位を争うような中高一貫校に入ったんだ。その中でもそれなりに勉強して、大学入試の直前の模試ではT大学を含めてA判定が5つもあった。ところがどっこい。全部落ちた。全部、落ちた。
それで俺は諦めきれずに一浪したわけだけど、なんだか徐々に予備校に行けなくなってしまった。毎朝予備校に行くふりをしてネットカフェに行き、ネカフェの天井を眺めているだけで1日って終わるんだよね。ふしぎだなぁ。
そのうちに動悸や過呼吸などといった症状も出てきて、いよいよもって流石にマズイな、と感じた俺は病院へGO。したら病名が出てくるわ出てくるわ。躁鬱病、対人恐怖症、視線恐怖症、強迫性皮膚摘み取り症etc&etc
俺は病気のるつぼかよ。勘弁してくれ〜。
こうして俺は受験を取りやめて、療養をとることになったのだが、家に引きこもってsnsなどで元同級生達の大学での活躍を見続ける日々は俺を癒しはしなかった。
受験を辞めてから二年がたった。大学に入学しても就職に響く年数だ。俺は世間的には浪人生、その実態はニートとして生活していた。
病気は快復しないどころか、薬で抑えるのが精一杯という感じで、ついに今日。というか今。俺はヤバイ幻覚を見ている。
「で、行く?異世界?」
ヤバイ。俺のベッドの上空で光り輝く球体が神を名乗っている。ええ〜、なんじゃこりゃ。正直今までちょっとした幻聴とかが聞こえることはあったけど、夢うつつの時が殆どで、こんな白昼堂々幻覚を見ることになるとは……いよいよ俺は終わりなのでは。
「異世界、楽しいよ〜」
アカンです。親に言って精神病棟に入院させてもらおう。二十歳も過ぎて迷惑しかかけてないな、いつかちゃんと恩返しをしないと……
「行くか行かないか、それが問題だ」
それにしてもこの幻覚、早く消えてくれないかな。鬱陶しくてしょうがない。
「答えたら、消えるよ。行く?行かない?」
答えたら消えるそうだ。幻覚の言っていることを信じて、何もない空間に言葉をかける頭のおかしい奴になるかどうか非常に悩ましい。
しかし異世界か、本当に行けるのなら少しぐらい行ってみたい気持ちはあるなあ。もしかしたら不老不死とかになれるかもしれないし。
「行く!?行かない!?」
「オーケー、分かった。行く、行くとも。これで俺は虚空に話しかける頭のおかしな奴だ。あ〜、なんか一線超えたわ。穴があったら入りたい、幻覚が消える前に俺を消してくれ。」
「了解した。じゃあ君の存在をこの世界から消すのに100ポイント使うね」
そう告げると、ポイントが何なのか聞く間も無く、球体はこれまで以上に発光を始めたので、俺は目を開けていられなくなった。あまりに明るいので、やがて俺は意識を手放した。最後に聞こえたのは、飛行機とか新幹線のトイレを流した時のような空気が抜ける音で「ワイは排泄物か〜い」って少し思った。
世界間の長い光のトンネルを抜けるとジャングルであった。
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