salt.
黒須カナエ
一章
第1話
幼馴染のれえは可愛い
可愛い
なんて言うと、その茶色くて柔らかい髪の毛逆立てて怒るんだけど
その様子がまた可愛い。
そんな事を思うのは俺だけじゃない。
同級生、先輩、女子、男子。みんなの共通認識だ。
声変わりも中途なそのハスキーボイスも
ころころよく変わる表情も
まだ成長途上の背丈も、手足も、
一緒に高校に上がるどの同級生達と比べても幼く見える。
そのれえが、校門の前で待ってた俺の目前にぴょんぴょん飛び跳ねるようにして駆け寄ってきた。
「くに!」
俺の名を呼んで、もし尻尾ついてたらぜってーブンブンちぎれるくらい振ってんじゃないかってぐらいの人懐っこい笑顔なのはまあ、いいんだけど…
戦闘科もあるこのむさい男子校で、十分すぎるほど目立つ様相なのにもかかわらず、れえは真っ白の学ランを着て目立ちに目立っていた。
確かに、黒と白二色から選べるとは言われてたけど、白い学ランなんか誰が選ぶんだと思ってたら
まさかの幼馴染が白ラン…
「おまえ、…白」
俺が笑いこらえながらそう言ったら、その様子に腹を立てたかれえはぐっと俺を睨みつけてくる。怖…
さっきまでブンブン尻尾振ってただろうが
「笑うな」
「目立ちすぎだろ、なんで白」
「兄ちゃんが男なら白いっとけって言うから」
出た
れえの兄ちゃん絶対論。
れえは幼いころ、害獣に噛みつかれた事がある。
俺の目の前で、巨大化した猿みたいな害獣に足引っ張られて腕を噛まれた。
その時助けてくれた害獣駆除部隊の隊長が、その“兄ちゃん”ことロミオさん、
今でもれえの絶対的なヒーローだ。
「いんだよ!オレは白で!」
そう言うとれえはどすどす校門をくぐっていった。
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