幽霊部員

内藤 樹

私立桜間高校



今時、ほとんどの学校に部活動やクラブ、サークルと呼ばれる運動系や文化系の様々な方面に青春をかける集まりが存在する。

   

私が通う私立 桜間さくらま高校にも同じく様々な部活動が存在する。が、ここには一つ変わった校則がある。


『全生徒は原則として必ず部活動に参加し、授業終了後90分以上の活動を義務付けるものとする』


桜間高校は部活動に力を入れているらしく運動系から文化系まで様々な競技で名門校といわれるほどだ。


入学した一年生は4月中に加入する部活動を決めなくてはならず、一度入部した後に他の部活動に移籍する際の手続きはかなり面倒らしい。

それ故、入学から4月末まで設けられる体験入部期間の上級生からの勧誘は凄まじいものだった。


もしも4月が終わっても呑気に部活を決めずにいるとどうなるか?

生徒指導部の教員からの嫌になるほどの説教と所属人数の少ない、つまり人気のない部活への強制入部が待っている。

好きでもないことを三年間やらされるわけだから輝かしい高校生活は望めなさそうだ。


”家が近いから”という安易な理由でまともに校風を調べたりもせずに進学してしまった私の自業自得ではあるのだが、中学3年間帰宅部として帰宅に全力を尽くしていた私には耐えられない話である。


そんな桜間高校に入学してからもうすぐひと月という頃。本日は4月30日。


”私”こと 小倉彩音おぐら あやねは未だに部活を決めることができず、生徒指導部の教員からのねちねちとした入部届の催促を受けながらも帰宅部を継続していた。


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