未定

@mi_ya_bi

第1話

今日も、いない。

わたしは半ば上の空で読んでいた単語帳から目をあげ、ニ列目の真ん中の席を眺めた。朝の教室は人もまばらで、でも少し騒がしい。受験生でもないのにわたしのように何人か単語帳を見てる人がいるのは、一時間目が英語の小テストだからだ。小テストの点は成績の対象になり、少しでもサボるとあっという間に内申に響く。たかが、小テスト、されど小テスト。どうでもいい小さなことは、いつの間にか大きな力を持つことがある。わたしが最近、毎日のようにニ列目の机、夏木涼介の席を気にしてしまうのも、入学式のちっちゃな出来事のせいだ。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

未定 @mi_ya_bi

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

フォローしてこの作品の続きを読もう

この小説のおすすめレビューを見る