テーブルの上のマイノリティ

顆粒

チープな言葉謳うドリーマー

「負けるな」と血潮の声を聞いたんだ「そのとおりだ」まだ負けちゃいないさ



知恵熱を出した幼き教え子はクールダウンを必要とする



口角の塩辛い汗を舐めたとき(ああ溺れそう)そう感じました



文鳥に指を噛まれたトラウマのビビッドカラーは消えてくれない



ぴったりと閉じた瞼に映るゆめ浅い呼吸を繰り返してる



こめかみがじぐじぐじぐり痛んでは泣き叫ぶのです「辛い!苦しい!」



べたついた風を受けても倒れないテトラポッドでお城を建てて



ぬるま湯の満ちた浴槽のふちなぞる指が恐ろしくえっちに見えて



抱いてる普遍的なるこの愛は特別でこそなくてもそれでも



先生はこころの場所を探すため出かけたっきり帰ってこない



一面を飾る文字列その朝はやけに窓外が騒がしかった



泥臭い自分の両手は『嫌いじゃない』いつの日か好きになれたらいいと



「星空とハチミツとクマときみが好き」微笑んだ君を僕は愛した



臆病な犬連れ散歩に出て行った娘を僕は心配している



満天の青を封じて蓋をして天蓋という言葉に酔ってる



また増えた眼鏡の厚みと見える色犠牲になるのは一体なにもの



踏みつけたシロツメクサの一生を妄想してはさめざめと泣く



時止めてその間少し世直しを神はおちおち休んでられない



黒猫が車に轢かれ死んでいて釘付けになりアイスは溶ける



ポンコツの脳みそ一度空にして酒を飲もうか今夜は満月



ファスナーが君の背中についていて開ければ散らばる君の体内



砕け散る心の破片が喉を刺す黙っていろよ負け犬は、もう



もう少し泣き出す前にもう少しやってみませんか僕がついてる



乾いてる右目の違和感の正体を左目で探る曇った日の午後



現状は大いにピンチ明日は無いB級映画の俳優気取って!



てっぺんを目指せば首は痛むものどうします、まだ上向きますか



夏来たる道路に走るストライプ駆けてく君が陽炎になる



ブランコの鎖に指を絡ませて「まだ帰らない」と駄々こねる姉



心房と心室それが二つずつそれが心臓の全てであって



ワンコインたったそれだけの価値があるなんて素晴らしき世界だろうか



銀河系統べる君の手握ってさ「時を超えよう」プロポーズする



視界中埋め尽くすエラー信号にNOを突き付け僕は逃げ出す



マイナスの温度しか持たぬ眼球に温く潤う涙に名前を



ゆらゆらとフェードインするその音は懐かしき日々の己の心音



君に幸あれと願ってゐるときはそのときだけは幸せでゐる



擦り剥いた手の平叩いていっそ泣けそうすれば彼は笑ってくれる



引き際を弁えていた五歳児は手を離れやがて大人になった



他人事は人混みに乗り流れ去る僕は君の手を握れないんだ



「見てみろよ、鏡に映る俺の顔。お前よりずっと汚いだろう?」



君のみぞ知るところ嘘は隠れてるあてはあるんだ、太陽の裏



電線の上渡る君を夜に見た月は無くって静寂が在った



燻っているのは憂鬱教室の戸は閉め切った何人が死ぬ?



逆位置の塔は脳天へ落ちてきて僕を貫いて殺すんだろう



生きるため生きてたころには戻れない上手な生き方知った僕らは



「馬鹿者」のレッテル背中に貼りつけて誰よりも先を走れ、『馬鹿者』



くだらない持論展開四畳半空気は希望で淀んでしまって



スカイブルーアンドウルトラマリンブルー視界を満たす心地よい青



肯定も否定もしない隣人の顔色窺い生ゴミ捨てる



吐き捨てた苦いアンコール彼がまたマイク握って愛を叫んだ



戦略も打算も賭けも考えず君はただ僕の手を取ればいい



つま先に地球の温度を感じたの冷たい空気がひたすら重い



煽られて巡る血液は沸き立って「飛ばせ!」三音は心焦がした



届かない宇宙の端が悲しくてディープな言葉の残像を追う





手の届く世界の端が悲しくてチープな言葉謳うドリーマー

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テーブルの上のマイノリティ 顆粒 @konagonattsu

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