第17話

 地上へ出て、何日かぶりに浴びた太陽は眩しい。しかし、やっと陽光を浴びることができても、状況が苦しいことには変わりがない。


 俺たちはどこへ向かえばいいのだろう。


 俺とロス=リオスは路地裏に身を潜めている。


 きっともう地下での戦闘は終わっている。委員会の奴らはアレックスたちを捕縛して、俺たちの捜索をしている頃だろう。


「これからどうするのだ?」とロス=リオスが訊いてくる。


「さあな。どうしたものか」


「私たちがこうやって逃げられたことには意味がある。私たちはそう簡単に捕まってはいけない」


「わかっている」


 期待されてしまった。ならば、それに応えなければいけない。捕まるなんて言語道断である。


 しかし、頼れる所がないのである。


 エレナの家に帰るか? しかし、そうすれば彼女に迷惑をかけてしまうのではないか。


 だが、頼るとなればエレナしかいないのも事実だった。


 俺一人で何とかするか? いや、一人で何ができようか。逃げるので精一杯だというのに、いったい何ができようか。


 俺は頭を抱える。


「どうすりゃいいんだよ……」


 期待されることは嬉しい。だから期待には応えたい。


 アレックスは俺のことを頭がいいと言ってくれた。しかしやはり自己評価の方が正しいのだろう。俺はさほど頭がいいわけではない。もし頭がいいのならここで画期的なアイデアを思いついて窮地を脱するに決まっている。


 ……普通なら諦めている状況だ。


 しかし、今の俺に諦めの選択肢はない。


 日本にいた頃ならすぐに諦めの選択肢を選ぶのに、俺は今、諦めたくないと思っている。


 期待されるっていうのはそういうことなのだろう。頭ごなしに命令されたのではやる気は出ないが、期待をされてしまうとやる気が出てしまう。そして、なんとかしてやろうと発奮する。だから、諦めたくないと思ってしまう。


 アレックスは俺に命令したわけではない。俺に期待をしたのだ。


 俺は期待に応えるために、ない頭をフル回転させて窮地を脱する方法を意地でも考えなければいけない。


 考えて、考えて……そして、考えて。


 やっぱりというか、なんというか、もうこれしかないって考えに至るのだ。


 このまま逃げ続けるのでは埒が明かない。だから、どこかに身を寄せなければいけない。そして、俺が頼れる場所と言えばやはりあそこしかない。


「エレナに頼るしかないのか」


「何か思いついたのか?」


「とりあえず、逃げ込む場所があるのは確かだ」


「では、早速行こうではないか。いつまでもこんな所にいるわけにもいかないだろう」


「あまり、迷惑はかけたくないんだよなぁ」


「私は君に従う」


 つまり、俺が決断すればいいだけの話ってわけか。


 道はこれしかない。決断するしかないんだ。


 だから、俺は決断をした。


「エレナの家に行くか」

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