15
「じゃあ、私、あの人間についておくわね。せっかくこの子が頑張ったのに、また
「あ、わたしも」
「貴女は大人しくおにぎり食べてなさい。……かっわいいわねー」
ちょ、待って待って!
おにぎりが、おにぎりが
オネェさんにいきなり持っているおにぎりごと抱き込まれた。
「ぐ、ぐるじぃ」
「あらやだ。ごめんなさい」
オネェさんの容姿についてはもう慣れっこだし、正直似合ってるから何も言わないけど、せめて力加減は覚えてくれないと困るよ!
分かる? 私、今、おこだよ、おこ。
「やぁだ。雅ちゃんは純粋培養なだけで、おバカな子ではないわよ?」
「ん?」
「え?」
会話ってキャッチボールじゃなくて、バッティングだったっけ? 全く意味が分からない返事が返ってきたんですが。
……しかも、さらっと心の声に返事されてるし。
「今、君が思った“おこ”っていうのは古語で、ようするにバカ、たわけって意味だよ」
「なんですと」
に、日本語むずかしー。
昔と今じゃ同じ言葉でも違うんだもんね。
「まぁ、僕からしてみれば、あながち間違いじゃないと思うけど」
「えーっ」
馬鹿なことはしていない……と、信じてる。
信じる者は救われるってよく言うしね!
……あ、でもそれ、外国の神様のだったわ。異国の神様見習いでも許容範囲に入れてくれると嬉しいなぁ。
「じゃあ、何かあったらまた連絡するわ」
「うむ」
オネェさんがアノ人の肩をポンっと叩いて姿を消した。
「つづきさん、おそいね」
「どこまで追いかけてるんだか」
あの時、部屋の窓の外にいたのって誰だったんだろう?
……そうだ。窓の外で思い出した。
鳳さんがスペースをあけてくれたベッドの
「ねぇねぇ。さいしょ、このへやにきたとき、まどのそとにいたのってなんだったんですか?」
「……知りたい?」
「う、うん」
今日ので結構耐性がついたような気がする。一歩大人に近づいた的な。
「赤黒い皮膚つきの片目だよ。窓いっぱいに広がる」
「……なんの?」
千早様はニヤッと笑うと、そのまま口をつぐんでしまった。
世の中には知らない方がいいこともあるってことですか。そうですか。
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