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「おっと。……よく頑張ったわね」



 ちょっとふらついてしまった私の身体をお姉さんが抱き留めてくれた。


 フフッ。頑張ったって褒められちゃった。

 ……お腹、空いちゃったなぁ。



「お腹が減るのは良い事だわ。さ、迎えを呼んだから、一人で戻れるわね?」

「え? ちはやさまたちは?」

「ちょーっと大人だけの大事なお話があるの。……小姫を頼むわよ」

「ミャウ」



 疾風!


 いつの間にやって来たのか、疾風が猫みたいに身体を私の足へり寄せてきた。


 疾風、みんなは大人だけの大事なお話なんだって。

 それじゃあ、仕方ないね。私達は大人しく帝様達のところへ戻ろうか。



「僕も一緒にい」

「まぁ待ちなさいな。貴方はこっち。大事な労働力よ」



 千早様の肩を鷲掴わしづかむお姉さんは女の人にしては背が高い。


 満点の笑みを浮かべるお姉さんを、千早様がじとりとした目であおぎ見た。



「なんで僕まで……おっさんが三人・・もいるんだからいいでしょ?」



 三人? おっさんが? どこに?

 おっさんって、アノ人と……失礼だけど、一応オネェさんと……え?


 私達からして大人に見える人は、ここには三人。うち、ちゃんとおっさんというか、男の人に見える格好をしているのはアノ人だけ。


 つまり……。



「次、その単語を出してみなさい? ……明日の朝日は拝めないと思え」



 ひ、ひぃっ!

 お姉さんの口からめちゃくちゃ低音かつ物騒なセリフがっ!



「……あら、ごめんなさい。ウフフ」



 目を白黒させている私に、お姉さんはしなを作ってパチンとウインクしてきた。


 人間じゃない人達って、どうしてこうもみんなそろって綺麗な人ばっかりなんだろう。


 お姉さんはお姉さんでも、綺麗なオネェさんでした。


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