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 ちゃんとご馳走様もし、歯も磨いた私は今、夏生さんの部屋の前にいる。


 腰に手を当て、準備万端だ。



 「た~の~も~!!」

 「うるせぇ!」



 おぅ。今日はいつにも増してカリカリしていらっしゃる。


 ……諦めないけどね!? だってハロウィン明後日だし。



 「これ~。あさって、これしたいなぁ」



 障子の隙間から紙を差し出しておく。


 諦めないとは言ったけど、正面きって直談判するとは言ってない。


 だってカリカリ怖いもん。



 「……好きにしていいから、綾芽か海斗に言え。俺は今、猛烈に忙しい」



 そういえば、もう月末かぁ。


 ハロウィンのことで頭がいっぱいだったけど、月末は夏生さんにとって書類の山はつきものだ。


 彼にとって今の部屋の中はまさしく第二の戦場と言えよう。



 「……がんばってくだしゃい」



 巳鶴さんに栄養ドリンク作ってもらえるよう後で頼んでおくよ。


 薫くんのと違って味は保障しないけど、効き目はあるはず……たぶん。



 さてさて、なにはともあれ夏生さんの許可は下りた。


 けどなぁ? 


 今日に限って綾芽は外回りだし、海斗さんは出稽古だし、薫くんは黒木さんとこ行ったし、劉さんは仕事でどこかに行っちゃったし、子瑛さんもそれについて行っちゃっていない。


 巳鶴さんも今は研究で忙しそうだからダメ。



 うーん、弱った弱った。



 「ごめんください」



 んん? お客さん?



 玄関の方から女の人の声がした。


 この屋敷に来る女の人といえば、まだ瑠衣さんくらいしか知らない。



 はいはい、御用聞きは私がやりますよ~!



 興味8割、お仕事1割、残り1割暇つぶし。


 そんな私、みやびがすぐ参ります。



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